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カヌー薬物混入事件と法整備

カヌーの鈴木康大選手が、ライバル選手の飲み物に禁止薬物を混入し、ドーピング検査に引っかかるように陥れた事件ですが、昨日1月10日(2018年)にこれが報じられたニュースを目にしても、私にはにわかに信じられませんでした。
カヌーのようなマイナー競技は選手同士が家族のように結束しているものですし、そもそも日本人アスリートは禁止薬物違反で罰せられること自体が稀ですからね。
今回の鈴木選手の愚行はそういうクリーンなイメージを台無しにしたといっていいでしょう。
むろん、被害に遭った小松正治選手の肉体的・精神的ダメージも計り知れません。

また、日本カヌー連盟の調査によると、鈴木選手は薬物混入事件だけではなく、8年ほど前から他選手の道具や金銭を盗むといった嫌がらせ行為も行っていたとのことです。
鈴木選手は公表した反省文で「アスリートとして、また社会人としてあるまじき行為をした」と述べていますけど、これは”ひと”としての問題です。屑のような人間といわれても仕方ありません。

そうしてカヌー連盟が鈴木選手に下した罰は”事実上の永久追放”。
これは妥当といっていい処分ですが、一般の我々が感じるのは「刑事罰はないのか?」ということです。
被害者は冤罪によって選手生命の危機に陥り、それまで築き上げてきた名誉や社会的立場を失いかけたのです。
それほどのことをした加害者が”犯罪者”にならないのは常識的に考えておかしなものがあります。
しかし、スポーツにおける”禁止薬物”というのは競技団体やスポーツの国際組織が指定するものであり、国が”違法薬物”に指定したものとは異なる場合が多いんです。
ですから、日本も含め、多くに国では”禁止薬物”を他人に飲ませる行為を罰する法律はありません。
鈴木選手もブタ箱に入らずにすむわけです。
(窃盗等については被害者との示談が成立しているようです。)

今回の事件はまさに前代未聞であり、日本スポーツ史においても最大級の汚点としかいいようがありませんが、マスメディアの報じ方は”抑え気味”といっていいでしょう。
2020東京五輪を控えていることもあり、日本カヌー界に傷がつかぬようお得意の”忖度”をしているのは間違いありません。
テレビでは鈴木選手の行為がどれだけ悪質なのかというより、「各選手が禁止薬物を飲まされないよう注意すべき」という論調になっています。つまり、「飲み物や食べ物を自己管理しろ」というわけです。
しかし、カヌーもそうですし、日本の多くのアマチュア競技は、寮のようなところでみなで暮らし、食べ物もビュッフェ形式のところもあるわけです。レスリングや柔道などがまさにそれです。
そういう現実のなかで「自己責任」というのはあまりにも無責任です。

今回の事件は”呵責に耐えられなくなった鈴木選手の自白によって発覚した”ということになっていますが、そういう自白がなくても犯行を調査できる仕組みが必要です。
一番手っ取り早いのは”禁止薬物を購入行為”を”違法”にしてしまうことです。
そうすれば、捜査機関が購入履歴を洗うことができますし、それをどのように使用したかがわかるわけです。
そしてもちろん、そこには刑事罰が必要なのはいうまでもありません。
実際、こういう法制度はイタリアに存在します。

ちなみに日本でも超党派の議員たちが、ドーピング違反やドーピングを手伝う行為を取り締まるための〈ドーピング防止法〉を作ろうと努力してきましたが、昨年成立したそれは”刑事罰を含まない”ものでした。
残念ながらこれでは効果はないでしょう。

メディアに出てくる有識者はこぞって”倫理教育”の重要性を訴えますが、ドーピングの歴史を見ていると、それでは防げないのはわかりきっています。
ドーピングの誘惑から選手を遠ざけるのは精密な検査・調査と厳しい罰則です。
富や栄光といったリターンよりもリスクが大きいと思ったときに踏みとどまるのです。
倫理観などに頼ってはなりません。
どんな選手だって魔が差すことがないとはいえませんし、手柄を求めるコーチの功名心だってあるわけです。

法で取り締まるというのは選手を守ることにも繋がります。
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