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大相撲を女人たちが守る

このところなにかと注目を集める大相撲ですが、悲しいことに悪い話ばかりなので、たまにはなにかいい話がないかなあ、と思っていたら、今度もやはり残念なニュースでした。

この4月4日(2018年)の舞鶴市での春巡業、土俵上で多々見良三市長(67歳)が開会の挨拶をしている最中にその場に倒れ込んでしまったんです。
土俵下にいた関係者(すべて男性)が駆け上がり、市長の状態を見ると、心臓が止まっていたらしく、心臓マッサージに入ったのですが、手慣れていない様子で、それに見かねた数名の女性観客が土俵に上がり、マッサージを交代します。
医療の心得があるのでしょう(看護婦さんと思われます)、女性たちは警察と救命が到着するまで堂に入った処置を見せていました。
動画サイトに上がっていた映像では観客もこれに感銘を受けたのか、賞賛するようなどよめきが起こりかけるなか、会場に流れた相撲協会からのアナウンスは「女性の方は土俵から下りてください」という無機質な言葉。
こういう緊急時でも”土俵は女人禁制”が大切ということなのでしょう。
女性たちも巡業に来るくらいなのでそれを知っていたのでしょう、ちょっと笑いながら土俵を降りて行きましたけど、「ありがとうございました」というアナウンスがあってしかるべきですよね…。

もちろんこの相撲協会の杓子定規な態度には批判の声が上がり、八角理事長も「とっさの応急処置をしてくださった女性の方々に深く感謝申し上げます。行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くおわび申し上げます」とのコメントをすぐに発表することとなりました。
女人禁制のしきたりはわかりますけど、こういうときはそれを横に置いておくのが粋ってものですよね。
不満な様子もなく、笑いながら土俵を降りて行った女性たちの方がずっと粋でした。

おそらくこの一件を機会にメディアでは女人禁制の是非が議論の的になり、一部の男女平等論者が騒ぎ出すはずです。
太田房江元大阪府知事が大阪場所で自ら府知事賞を贈呈するために土俵に上がりたいと要望し、断られたのが2004年ですけど、議論が再燃するかもしれません。
ちなみにその04年のときは、横綱審議委員も務めた女性作家の内館牧子さんが、相撲が神事を基していることと、大相撲が200年を超える伝統を持っていることを理由に、女人禁制を支持したことから、男女平等論者はすぐに口をつぐんでしまいました。

私も内館牧子さの意見に賛成です。
たとえば日本には女性が立ち入れない宗教施設や霊場がまだまだたくさんありますし、女性は宮司になれないというしきたりもありますが(神社本庁管轄)、”時代に合わない”という理由だけでそれを変える必然性がわかりません。
しきたりや伝統というのは一度壊してしまえば元に戻らないものです。
そうなってしまえば、我々は過去の人間の宗教観や美意識といったものを学ぶ手段を永遠に失うのです。
平等論者が反対すべきは、新たに作られようとする女人禁制や男人禁制です。

そして、その伝統やしきたりでいうと、私は力士と行事、呼び出し以外が土俵に上がることも違うのではないかと思うんです。
たとえば神社の本殿は宮司しか立ち入ることができないのですから、土俵を神聖な場所というならば、それに倣うべきです。
大相撲の表彰式で一般人(男性)が土俵に上がるのは江戸時代の資料にはないので、おそらく昭和からでしょう。
しきたりでも伝統でもありませんし、その光景は美しくもありません。
今回の舞鶴市の一件も市長挨拶が土俵下ならば、トラブルは避けられました。

また、神事の際は眼鏡や腕時計、ピアスなどといった貴金属類を身に付けないのが日本のしきたりです。
祭祀を執り行う宮司や舞を奉納する巫女を見ればわかりやすいですし、相撲の行事や呼び出しだってそうです。
それなのに協会挨拶で理事長が時計や眼鏡をしながら土俵に立っている。
しかも、その口で”女人禁制”をいうのですから甚だおかしいわけです。

今回の一件で大相撲は伝統やしきたりをもう一度見直して欲しいものです。
見習うべきは、命の尊さと同時に、伝統としきたりも守ろうとしていた女性観客たちですね。
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