2018アジア杯GS、九死に一生のオージー戦

”なでしこジャパンのアジアでのライバルはどこか?”
テレビなどではどこぞの半島の南側をそれだといっていますけど、女子サッカーの歴史を見てわかるように、一瞬たりともそんな時代はありません。ランキングにも差がありますし、大きな大会で覇を争ったこともないんですからね。

ずばりいうと、なでしこの真のライバルは”オーストラリア”です。
たとえばいま行われているアジアカップでも、10年大会では準決勝でなでしこを破ったオーストラリアが優勝、14年大会は決勝でなでしこがオーストラリアを下して優勝。
五輪予選ではロンドンのときの予選ではオーストラリアがなでしこに敗れて本戦に進めず(五輪に行ったのは日本と北朝鮮)、リオのときはなでしこがオーストラリアに負けて本戦に進めませんでした(五輪に行ったのはオーストラリアと中国)。

このように近年のアジア女子サッカーを引っ張っているのは間違いなく日本とオーストラリアです。
特に日本からすれば、フィジカルが強いオーストラリアとどれだけ戦えるかが世界に出行く際の試金石であり、勝てば自信になり、負ければ課題となってきたわけですから、切磋琢磨するという意味でも本当にいいライバルなのです。

そしてこの2018アジアカップでも剣ヶ峰に立たされた日本の前に立ちふさがるのはやはりオーストラリアでした。
日本がいるグループBは2試合を終え、日本が1勝1分け(得失点+4)、オーストラリアも1勝1分け(得失点+8)、韓国が2分け、ベトナムが2敗。
最終節(4月13日)の日本はオーストラリアに勝つか、1-1以上の引き分けならば決勝T進出とW杯出場が決まるところですけど、0-0か負けならば韓国に逆転され、Aグループ3位とのW杯5枠目を争う決定戦に叩き落とされるという状況です。
Aグループはランクの低い国が集まっているので、5位は大丈夫だと思いますけど、前のW杯で準優勝したアジア女王が5位でのW杯などというのは屈辱以外のなにものでもありません。

とにかく”1点以上を獲らなくてはならない”日本のスタメンは、GK山下杏也加、4バックが鮫島彩・市瀬菜々・熊谷紗希・清水梨紗、Wボランチに宇津木瑠美と阪口夢穂、OMFは長谷川唯・岩渕真奈・中島依美、1トップに菅澤優衣香。
いつもの4-4-2ではなく、4-2-3-1に見えました。

試合は予想通り立ち上がりからオーストラリアがスピードとパワーで押し込んでくる展開。
それをなでしこは泥臭く食らいつき、”蹴らせない””走らせない”を徹底。
なでしこは前線からよく戦い、中盤では宇津木(大迫力!)がよく相手を潰してくれましたし、最終ラインの熊谷は絶対的な安心感でした。

そうやってなんとか前半を凌ぐと、後半はオーストラリアの足がやや止まってきたこともあってなでしこペース。
長谷川・岩渕・中島が上手く相手のマークを外しながら効果的な攻撃を組み立てると、18分には岩渕と長谷川で左サイドを崩すと、長谷川のクロスを阪口がきっちりニアにぶち込んで日本先制!
優勝候補のオージー相手にまさに値千金のゴール!

これで日本はこのまま守り切ってもよし、1点返されてもGS突破は確定という願ってもない状況になりましたけど、ここで心配なのは先制点に浮足立つこと。オージーも気合を入れ直してくるはずですからね。
ここまでのオージーは”0-0でも首位通過”だったので、攻めにあまり迫力がありませんでした。

しかし、日本は激しく攻めかかってくるオージー相手に粘り強い守備。
パスの出所を潰し、スペースを消す、素晴らしい集中力でした。
そういう極限の戦いのなかで、清水や市瀬や長谷川の若手トリオがぐんぐん成長してゆくのがわかり、本物のなでしこの一員になってゆく姿はドラマチックですらありましたね。

37分には長谷川が負傷したこともあって増矢理花と交代。
菅澤などもかなり疲弊していたので田中美南あたりを入れてもいいように思いましたけど、高倉麻子監督は動きません。韓国戦でもそうでしたけど本当に動きません。

ただ、ピッチ上のなでしこたちの集中に揺るぎはなく、GKの山下もアグレッシブかつ冷静なプレイぶりを見せていたのでこのまま勝ち切れる、誰もがそう思ったはずです。
ところが、41分、オーストラリアが左から入れてきたボールをGK山下が抑えたかに見えたそのとき、相手エースのカーが体をぶつけてきて、山下がこぼしたボールをカーがネットに蹴り込むというまさかのシーン。
ファウルにしか見えませんでしたけど、審判はゴールを認め、悔しい同点となります。
(女子サッカーは審判のレベルを上げて欲しいですね。)

そしてここからの日本とオージーの戦いはというと、当然のように時間つぶし。
1-1だとオージーはGS首位通過、日本も2位通過なので互いにリスクは冒しません。
なでしこが最終ラインでボールを回すのをオージーの選手が傍観したまま試合終了。
サッカーのGSでは珍しくない光景です。
両チームともほっとしたような笑みを浮かべながら静かに喜んでいました。
互いに負ければGS敗退だったのですから、その緊張から解き放たれたのでしょう。

それにしてもこの日のなでしこジャパンは自分たちが温室ではなく、野に咲く花であることを思い出し、泥臭くて粘り強い、彼女たちらしいサッカーを展開してくれました。
11年W杯で優勝したり、ロンドン五輪で銀メダルを獲ったことで、いつの間にか”胸を出す横綱相撲”になっていたことが、リオ五輪予選で敗れた要因のはずです。
横綱になったからといって相手を正面から受け止められるほど強くなったわけではないんです。
”頭をつける相撲”で勝つ横綱がいたっていいんです。
このオージー戦のような気持で今後も戦っていってほしいですね。
そうすれば東京五輪でも夢を見られるってものです。

そして、このアジアカップも決勝はおそらく日本×オーストラリアの再戦になるでしょうけど、今度こそはっきり勝ちたいですね。
オージーの向こうにこそ世界はある!
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