初防衛戦、村田諒太のバランス感覚

昨日4月15日(2018年)、日本人のミドル級王者として初めての防衛に成功した村田諒太は、日本ボクシング史に大きく名を刻んだと同時に、世界に向けて日本ボクシングの名を高めたといってもいいわけですけど、その試合内容は、相手があまり強くなかったこともあり、驚きのあるものではありませんでした。
村田本人も試合後のインタビューでKOするのに8回までかかったことを観客に謝りつつも、「及第点」と自己評価する試合でした。

ただ、そのインタビューのなかには驚きのコメントがあって、「ボクシングファンの方なら知っているように、ミドル級には僕より強いチャンピオンが何人もいる」とリング上でいっちゃったんです(※以前から雑誌インタビューなどではそういっています)。
現在プロボクシングには4つのメジャー団体あって、それぞれにチャンピオンがいるのはもちろん、村田のいるWBAには複数団体の王座を獲った〈スーパー王座〉というものも存在するなかで、村田は”ミドル級王者では自分が一番弱い”と公言してしまったといっていいでしょう。
これは村田のプロモーターやスポンサー、支援するテレビ局からすれば、商品価値を下げるコメントになりますから、いわゆる禁句です。
日本のマスメディアではミドル級には他に王者がいる、しかも村田より強い、なんてことはひた隠しにしていますしね。

しかし村田はあえて生中継中にそれを公言した。
そして、「いつか強い王者と試合がしたい」といい、ゲンナジー・ゴロフキンを目標に掲げたわけです。
彼は”強い王者を目指す”ことが自分の商品価値であると考えているのでしょう。
この姿勢は一般の視聴者だけではなく、ボクシングファンからも好感が得られるはずです。
一緒に夢を見よう、という宣言でもありますからね。

村田諒太というボクサーは本当に素晴らしいバランス感覚を持っています。
試合では”負けられない重圧”と”KOの責任”のバランス。
コメントでは”現実”と”夢”のバランス。
しかもそのコメントはテレビ視聴者を楽しませるものであり、活字メディアが記事にしやすいものであることも特筆すべきものでしょう。
もちろんそのコメントはジョークを交えつつも、決しておふざけではありません。
ボクシングをやっている若者はもちろん、一般の子供にも学んでほしいような態度です。
村田諒太は自分をボクサーである前に、ひとりの大人であり、ひとりの社会人だと考えているのかもしれません。
こういうボクサーが日本にいることは本当に誇らしいですね。

そういうバランス感覚でいうと、同じ日に試合をしたWBCフライ級”前”王者・比嘉大吾は本当に残念でした。
前日計量で日本人王者初の体重超過による王座剥奪という失態を犯し、興行としての試合はなんとか成立させたものの、いつものアグレッシブさは影を潜め、9回TKO負け。
多くのファンやスポンサーを裏切り、日本ボクシングにも泥を塗ってしまった比嘉は、心に大きな傷を負ったのか、試合後は記者会見すらできない有様でした。
”減量によって階級を下げることが有利に働く”とされるボクシングですが、そこには減量苦や体重超過のリスクがあり、比嘉とその所属ジム(具志堅用高会長)はそのバランスを見失ったということでしょう。

今後の比嘉大吾は日本ボクシングコミッションの処分も含め、長期休養に入るとのことですが、”大人のボクサー”として復活してほしいものです。
失敗や苦難から立ち直る姿を見せるのもプロスポーツマンの責務ですし、それがまたドラマを生むのです。
応援しているひとたちに夢を見させてあげましょうよ。
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