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ロシアW杯ポーランド戦 賛否両論の大博打

ロシアW杯GL第3戦、我らが日本代表は”引き分け以上”でGL通過が決まるという状況のなか、西野朗監督はスタメンを6人替え、布陣も4-4-2変更するという策に打って出ました。

     岡崎慎司 武藤嘉紀
宇佐美貴史 柴崎岳 山口蛍  酒井高徳
長友佑都 槙野智章 吉田麻也 酒井宏樹
      川島永嗣

このメンバーと布陣は前日のスポーツ新聞にすっぱ抜かれていましたけど、本当に的中していて驚きました。
これは当然ポーランドにも伝わってしまうわけで、立派なスパイ行為・利敵行為ですぜ。
日本のマスコミは本当に困ったものです。

大事な3試合目をぶっつけ本番のメンバーで挑むというのは博打でもあるわけですが、事前報道にもあったように、長谷部ら何人かの選手はかなり疲労が溜まっているとのことで、交代も仕方ない部分があると思います。
大迫や乾や原口といった前線の選手は接触プレイでのダメージもあるでしょうしね。
また、試合の相手が敗退が決まっているポーランドということもあって、失うものがない彼らが攻勢に出てくることが予想されましたから、岡崎や山口や高徳のような守備が強い選手を使うのも理解できるというものです。
槙野に関してはテストマッチで不安を覗かせていただけに少し疑問ですけど、対人に強い選手なのでおそらくは相手エースのレバンドフスキ対策なのでしょう。
主力のコンディションを考えながら、”引き分け以上”を狙うためには悪くないスタメンと布陣です。点を獲りに行きたくなったときは色んなカードを切れますしね。
ですから、決勝トーナメントに向けての”スタメン温存”というのだけが理由ではないはずです。
そもそもこの西野ジャパンは、直前のテストマッチ3試合を経てようやく本番用のスタメンを作ったのですから、スタメンとサブの境界と実力差はけっこう曖昧なのですからね。

そうして始まった試合、ポーランドはやや日本にボールを持たせる形でのカウンター戦術。攻めのときはやはり人数をかけてきて迫力があったものの、日本はそれにしっかり対応しながら、前線が少ない手数でチャンスメイク。
日本の攻撃といえば中盤やサイドバックが前線と連動するのが特徴ですけど、この日の中盤とサイドはポーランドの攻めを警戒して自嘲気味。
そのため宇佐美や武藤の個人能力で打開せざるを得なくなるなか、2人が予想外の動きを見せ、序盤は日本のペース。
特に武藤がボールによく触り、決定機も作っていましたけど、判断や視野に問題があるのか、じれったいまでに得点は入りません。

すると前半30分くらいからポーランドのカウンターの精度が増し始め、32分には川島のスーパーセーブで救われる場面があるなど、苦しい時間帯が続きます。
”引き分け以上”が欲しい日本からすると、ビハインドの展開だけは避けねばなりません。
選手もそれがわかっているからこその集中した守備。
終盤は日本が押し返し、前半は0-0で終了となりました。

前半の日本は”しっかり守って手数をかけずに攻める”という戦術がある程度ハマっていました。
西野監督の選手起用や布陣選択は間違っていなかったといっていでしょう。
西野ジャパンはアクションサッカーを標榜しているだけに、守備寄りの布陣を敷いたとはいえ、ラインは高く、マイボールのときは積極的に攻めるのですからやはり攻撃的です。
しかし、ポーランドはそこを狙ってカウンターを仕掛けてくるのですから、肝が冷える場面もありました。
日本サッカーには”守り切る”文化とチカラがないので、相手のカウンターの脅威には常にさらされ続けるわけですけど、アクションサッカーという哲学で行くと決めたらそれを貫くしかありません。

後半の日本は交代もなく、前半と同じメンバーでスタート。
この日のボルゴグラードは気温も湿度も高かったため、それに慣れないポーランドのスタミナが早目に切れることが予想され、後半は日本が有利になるという見るひとが多かったと思いますけど、その後半開始早々に岡崎が足を痛めて大迫勇也と交代。
岡崎はシーズン中に右膝を負傷していて、このW杯にギリギリ間に合わせたわけですが、それが悪化してしまったのでしょう。
アクシデントというほかありません。

急遽投入された大迫はなかなかゲームにフィットしきれない様子でしたけど、日本は相手のカウンターに警戒しながらも攻勢に出て、後半立ち上がりは宇佐美が積極的。
12分には宇佐美のクロスから得たCK、それを柴崎・宇佐美のショートコーナーから槙野が強引なオーバーヘッド。
これは決まらなかったものの、ポーランドの緩い守備を見ていると、後半のチャンスは多そう。

そんなふうに思っていた矢先、日本の縦パスがカットされ、ポーランドがカウンターに入ったところを山口がファウルで止めて相手FK。
やや遠目だったのでそんな危険はないはずでしたけど、ゴール前に正直に蹴り込まれたFKを簡単に決められるという悪夢のような展開。
吉田と槙野がレバンドフスキにぴったり張り付いていたものの、その頭を超えるようなボールで、その先にいたベドナレクに対して高徳と大迫が寄せもしないのですから、実にあっさりした失点でした。
ザックやハリルの時代からよく見るような失点シーンには無力感を覚えます。

こうなると是が非でも1点が欲しい日本ですが、カウンターのキレが増してきたポーランド相手に、完全に前掛かりになることもできません。時間もまだ30分も残っていましたしね。
先制したポーランドは、疲労もあったでしょうし、”受け身からのカウンター”という戦術がはっきりしていました。

日本は20分に宇佐美→乾貴士というカードを切るも、攻守のバランスをある程度保ったままの攻めになります。
じれったい時間帯でしたけど、”2失点”はGL敗退を決定づけるといっても過言ではないので、戦いも慎重になるというものです。
リスクをかけて勝負に出る時間帯は残り10分くらいでしょう。

そしてここで気になるのが別会場のコロンビア×セネガルです。
日本が負けたとしても、どちらかが勝ってくれれば日本はGL突破が可能なんす。
しかし、コロンビア×セネガルは0-0のまま推移し、動きがありません。
自力突破を図る日本は25分の乾のシュートが外れ、27分のCKからの吉田ヘッドも枠を捉えられず、逆に29分にポーランドのカウンターからレバンドフスキが外してくれて助かった…。

そんなじれったい時間が続くなか、30分頃に「コロンビア先制!」の一報が入ったことで、日本ベンチが慌ただしくなってきます。
この時点で日本は〈フェアプレイポイント〉でセネガルを上回ってのグループ2位。
このまま行けばGL通過となりますが、時間はまだ15分ほども残されていて、セネガルが追いつく可能性も十分ありましたから、この状態をキープすればいいというわけではありません。
西野監督もどういう手を打つべきか大いに迷ったことでしょう。
攻めに出るにしても岡崎の交代はゲームプランを狂わせていたはずです。
(※フェアプレイポイントは、レッドカード・イエローカードの枚数やファウル数が少ないチームが優位になるルールです。)

そのベンチの気配を感じたのか、ピッチの選手たちも自陣に退いて様子を見るような動きを見せ、その隙にポーランドがやや攻勢に。
日本がそれを凌ぎ、時間が経過するなかで、西野監督が下した判断は長谷部投入と、試合をこのまま終わらせることでした。

37分、武藤→長谷部誠。
ポーランドの攻撃が終わり、マイボールとなったところで、長谷部が味方に「攻めるな」「カードをもらうな」という指示を送ります。
日本はそこから自陣でひたすらボール回し。
ポーランドの方は日本が勝ちをプレゼントしてくれるので、2点目を取に行く気配もありません。疲労で足をつる選手もいましたしね。
そんな両チームにスタンドからは大ブーイングが浴びせられますが、選手たちはシビアに”結果”を求めにいったわけです。

そうして試合終了の笛が鳴り、試合は0-1で日本の負け。
しかし、1分ほど後に終わった別会場はコロンビアが1-0で逃げ切り、日本の決勝トーナメント進出が決定!
ちょっとしたもどかしさはありましたけど、選手たちがほっとしたような笑顔を浮かべていたのが印象的でした。

この西野監督の采配は、競技としてのサッカーを否定するものかもしれませんし、チケットを買ってくれた(中立の)観客に対しては大いに謝らなければならないことでしょう。
しかし、GLというのは、いかにしてそこを突破するかを競う場なんです。内容や戦いぶりを問うものではありません。
アクションサッカーを標榜し、理想主義にも見えた西野監督ですが、最後はリアリズムに徹したわけです。

この西野監督の判断は、ポーランドのカウンターの切れ味とコロンビアの守備力とセネガルの攻撃力を総合的に計算したもので
しょう。
しかし、セネガルが追いついていたら世紀の笑いものになるのは確実なだけに、大博打といっていいものでした。
もちろん試合後に賛否両論渦巻くのもわかっていたはずです。
そういうすべてを呑み込み、選手ではなく”自分ひとりの責任”として決断を下した西野監督に、私は敬意を表します。
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