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甲子園は日本人の本音

今年2018年の夏の甲子園は記念すべき100回大会でしたけど、昨日8月21日に行われた決勝戦では大阪桐蔭高校が秋田の金足農業高校を13-2で下し、史上初の”2度目の春夏連覇”という記録付きでの優勝となりました。
大阪桐蔭は大会前から”優勝候補ナンバー1”と評価されるなかで、初戦からその実力を存分に見せつけ、期待通りの結果を残したのですから、高校野球史上でも類まれな強さだったといっていいでしょう。
本当に見事な優勝でした。

そうして優勝旗を圧倒的な実力でもぎ取った大阪桐蔭でしたが、残念ながら”大会の主役”の座だけは最後まで手にすることはできませんでした。
みなさんご存知のように、今大会で最も注目を集めたのは金足農業です。
”公立””全員地元秋田出身””不動の9人””県大会からエースがひとりで投げ抜く”というキーワードは日本の一定層にとっては大好物だったといっていいでしょう。
決勝ではそこまで749球を投げてきた吉田輝星投手が疲労の限界に達して打ち込まれたものの、その憔悴した表情や力ないピッチングフォームは観客や視聴者の同情を誘い、金足ナインがその吉田投手を励ます姿はさらに胸を締め付けたことでしょう。
物語の主役は完全に金足農業でした。

この大会の金足農業は横浜高校や日大三高(衝撃のツーランスクイズ)といった強豪を撃破するごとに注目度が高まり、”100回大会での東北勢初優勝”という夢もあって、メディアも大いに応援していました。
決勝戦前の各局の報道なども隠すことなき金足贔屓で、大阪桐蔭は完全にヒール扱いだったのはいうまでもありません。
ヒーローたる金足ナインは、その奮闘ぶりだけではなく学校生活なども特集され、まさに過剰報道でした。
もちろん地元秋田の盛り上がりも大きく伝えられ、秋田出身の著名人のコメントを取ってくるなど、メディアによる扇動もまた記念の100回大会に相応しいものだったといっていいでしょう。

しかし、そこで忘れられている問題があります。
この大会は開幕前から”酷暑”と、それに伴う選手たちの”疲労”をどうするかが大きな焦点でした。
それなのに金足農業が勝ち進むと、メディアはそれを無視。
吉田投手が準決勝までに投じた749球はすでにレッドラインを超えているといっても過言ではない数字にも関わらず、雑草野球がエリートを倒すというドラマに酔いしれているかのようでした。

ちなみに、この30年で見ると、夏の一大会で700球近くを投げた投手は12人いますが、そのほとんどがその後、腕や肩の故障に苦しみ、投手生命を短くしてしまっています。
大成したといっていいのは松坂大輔投手(767球)くらいですが、彼も30歳頃からは故障の連続となってしまったのはみなさんご承知の通りです。
そんななか、金足農業の吉田投手は準決勝までの749球に加えて決勝戦では5回132球を投げ、限界に達したところでの降板となったわけです。
合計881球は斎藤佑樹投手の948球に次ぐものです。
データからいえば吉田投手のダメージは想像を絶するものです。
それを「感動した!」といって喜んでいるのは少々異常かもしれません。
箱根駅伝でランナーがフラフラになっている場面で盛り上がるのもそうですけも、日本人はスポーツに対して競技性や競技レベルよりもドラマ性を求めてしまうのでしょう。

その箱根駅伝と夏の甲子園の共通点といえば、陸上競技・野球競技のなかでこれが最も人気のある大会だということです。
多くの日本国民が、プロや実業団というよりレベルの高いカテゴリーよりも、そちらのドラマ性を好むわけです。
ですから、やっている選手たちも”ここが日本で一番の舞台”と確信しながら身体がどうなろうとも全身全霊をぶつけてゆく、そしてそれを見てまた国民が熱狂するという循環がそこにあります。

甲子園で好投手が限界以上に投げるのも、それをファンやメディアが喜ぶのも、高校野球の先に魅力的なステージが存在しないせいなのかもしれません。
プロ野球は視聴率が低迷し、地上波ではほとんど見かけなくなり、メジャーリーグに挑戦する選手もめっきり少なくなってしまっているのが日本球界の現状です。
これは皮肉ではなく、日本の野球は甲子園を頂点に、プロ野球などはその余韻として甲子園のスターが成長した姿を披露する場として機能すればいいだけなのかもしれません。
故障で力が落ちた選手がいても、甲子園のときの思い出で補正すればいいだけです。
ときおり投手がハンカチで汗を拭いたり、たまには選手が黄列になって球団歌を熱唱しても球場は大いに盛り上がることでしょう。
そんな世界になれば、”高校球児の将来”を気にかける必要もありません。

そうなると競技レベルが落ちてしまって、日本の野球は国際的には通用しなくなるかもしれませんが、それはそれでいいのではないでしょうか。
メジャーとか外国の野球って、フィジカルが暴力的すぎて日本人にはもうついてゆけません。
世界大会とか、メジャー挑戦とか、もう止めていいんじゃないでしょうか。
目指すのは甲子園大会を中心としたガラパゴス化です。
ベースボールではなく、”野球”として日本独自に進化してゆくべきです。
それが日本人の本音でしょうしね。
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