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女子体操パワハラ問題、解決はリアリズムで

今年(2018年)5月の財務次官セクハラ騒動の際、麻生太郎財務大臣が「セクハラ罪という罪はない」と発言し、マスコミによる大バッシングを受けていましたが、もちろん麻生大臣の認識は間違っていません。
日本の刑法にはセクハラ罪というものは存在せず、セクハラが刑事事件になる場合は、迷惑防止条例違反や強制猥褻罪、名誉棄損罪などによるものであり、そういった罪に抵触しないセクハラ行為を刑事訴訟で罰することはできません。
ただし、民事訴訟で慰謝料を請求されるケースがありますし、セクハラが行われた組織内(企業・団体・学校など)のルールで裁かれる場合もあるので、倫理上の罪咎からは逃れられないというわけです。

また、ここにもうひとつの勘違いがあって、”セクハラやパワハラは被害者がそう受け取っていない限り罪咎ではない”と思っているひとがけっこういるようです。”嫌よ嫌よも好きのうち”というのでしょうか。
もちろん、現実にはそんなわけにはゆきません。
問題化するハラスメントというのは、本人からの親告よりも、周りからの通報がもとになっていることが多いといわれています。
たとえば、大学で友達が教授からアカデミックハラスメントを受けているとか、会社で同僚が上司からパワハラ・セクハラを受けているとか、第三者が当該部署に訴え、そこで調査・聞き取りが行われた結果、注意や処分が下されるというわけです。
(刑事罰に抵触するような行為ならば警察に届けることになるでしょう。)

ようするに、被害者の受け取り方ではなく、客観的な事実関係が重要なのです。
わかりやすい例でいえば、今年話題になった女子レスリングのパワハラ問題でも、訴えたのは被害者とされる伊調馨さんではなくそのコーチらでしたし、加害者とされる栄和人監督は具体的な発言や圧力があった部分においてレスリング協会から処分を受けました。

それでいうと、今日8月29日、記者会見を開いた女子体操の宮川紗江選手の訴えは少々トンチンカンな感じがします。

彼女がパワハラの被害者として名前が取りざたされ、加害者とされる速見佑斗コーチが体操協会から無期限での登録抹消とナショナルトレーニングセンターでの活動禁止の処分を受けたのは今月15日のことです。
理由は速見氏の暴力であり、協会の聞き取りに対し速見氏(と宮川選手)もそれを認め、処分を受け入れたとの説明でした。
協会からの発表があった後も、速見氏からなんの反論もなかったので、騒動はここで終わるのが普通です。

ところが、収束を許さなかったのは宮川選手の側でした。
21日、弁護士を通して「パワハラとは感じていない」とコメントを出し、協会が暴力行為を認定した根拠や重い処分を決定したプロセスに納得がいかないといって、全面的に争う姿勢を示したんです。
そして24日には宮川選手と歩調を合わせるように、速見コーチも地位保全の仮処分を東京地裁に申し立てました。
今日の記者会見はその流れで開かれたというわけです。

そこで宮川選手は、「塚原千恵子女子強化本部長が、有力選手である私を自分のクラブに引き抜くために速見コーチが邪魔だった」との陰謀説を唱え、塚原強化部長から「オリンピックに出られなくなるのよ」といわれたといって、逆に塚原強化部長のパワハラを匂わせていました。
また、一部報道にあった”馬乗りでの殴打”や”髪を掴まれ引きずり回される”を否定し、重ねて速見コーチの助命を嘆願し、引き続き2人で競技を続けたいという意思を表明したというわけです。
(パワハラ問題というより、暴力指導問題ですよね。)

いやあ、なんといいますか、ワイドショーが舌なめずりするような展開になってきました。
メディアは”組織”を叩く方が好きですしね。
ただ、記者会見のなかで、宮川選手は「叩かれたり、髪を引っ張られたことはあった」といって、”暴力”は認めているんです。
程度の問題であり、そんなに酷くはないといいたいのでしょうね。

たた、騒動のなか体操協会が強調した「たとえ被害者が暴力を許容したとしても、暴力的な指導は認められない」という方針は社会通念に則ったものですし、それに反した速見コーチを処分することにはなんの間違いもありません。
むしろ、これを看過していた方が組織としてヤバイ。

スポーツの現場では、指導される選手の方も暴力や威圧を是としているケースがあって、「その方が気合が入る」という声がいまだにあるようです。
それはそれでいいのかもしれませんが、複数の選手がいるクラブやトレーニングセンターで、そういう特異な指導が許されるかどうか、宮川選手にはもう一度よく考えて欲しいものです。
体操協会の方は「速見氏が体操教室を経営し、引き続き宮川選手の指導を行うことは自由です」といって、昭和的な指導の抜け道を示唆しているではありませんか。
おそらく、”密室での指導方針”には口を出さないということなのでしょう。
選手が嫌ならそこを辞めればいいだけです。体操の場合、移籍は珍しくありませんからね。
私はこの体操協会の”リアリズム”を評価します。

これに倣って宮川選手サイドも大人の対応を取った方がいいと思います。
そうでないとメディアの慰み者になるだけですぜ。
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