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2018GPSスケートカナダ・女子シングル(前) まことの花へ 

この2018スケートカナダ・女子シングルには樋口新葉さん、山下真瑚さん、松田悠良さんが出場するということで日本の我々にとってはずいぶん賑やか(GPS第2戦)。
それに加えてトゥクタミシェワとメドベージェワという元世界女王も揃ってエントリーしているのですから、かなり楽しみな大会です。

そんななか、松田さんは右足甲に負傷があるとかでフリップとルッツを入れられず、ジャンプ構成が厳しくなっただけではなはなく、
全体の動きや滑りに勢いが出ず、SP53.35(TES26.64・PCS26.71)、FS104.24(50.17・54.17)で総合11位。大きなミスがなかったのは立派でしたけど、回転不足(UR)が多すぎました。
今季はSP『ミー・アンド・マイガール』の振り付けが鈴木明子さん、FS『The Seasons』がジェレミー・アボットなので、もうちょっと調子の上がった演技が見たいですね。全日本までにはやってくれるでしょう。

今大会、私が日本女子以上に関心を寄せていたのはエフゲニア・メドベージェワ。
昨季は怪我もあって妹弟子のザギトワにロシアのエースの座を奪われ、五輪でも銀メダルに泣いた彼女ですが、”天才少女使い捨て”のロシアに居場所がなくなったのか、今季から練習拠点をカナダに移し、カナダフィギュアの英雄ブライアン・オーサーのチームに所属することになりました。
みなさんご存知のようにロシアとカナダといえばフィギュア界の覇権を争う犬猿の仲ですから、本来ならばこの移籍はご法度です。メドベージェワは現役引退後にロシアでフィギュアの仕事をするのはかなり難しくなることでしょう。
しかし彼女はそれを承知でカナダに渡った。
これは”使い捨て”と”保護主義”というロシアフィギュアへの痛烈な批判であり、フィギュアという芸術をもっと長く追及し、今後もグローバルに活躍したいという意思表明に他なりません。
そんなメドベージェワを応援しないフィギュアファンがいるでしょうか?

ただ、シーズン序盤のB級大会を見ると、メドベージェワは体型変化(99年11月生まれ)なのか、カナダに渡って食生活が変わったのか、上半身が大きくなって、スケートも動きにもどこかもっさりしていました。
(スポーツ選手でなくても、進学を機会に実家を離れた学生で似たようなことがありますよね。みなさんのなかにも経験者がいるかも。)
そこからどう調子を上げてくるかちょっと不安だったわけですが、SPではそれが的中した形で精彩を欠き、コンビネーションジャンプの頭の3Fがパンクしてほぼ得点が入らないという信じられないミス。60.83(26.50・34.33)というのはジュニア時代だってほとんど出したことのない低スコアです。
SPの順位も7位となりFS最終グループに残れないのもショッキングでした。
私などは元女王の悲惨な姿は見たくありませんでしたし、キャリアに傷が付くという考えもありますから、FSを棄権する可能性もありましたけど、翌日もしっかり出てくるメドベージェワ。
このFSがダメならば「移籍は失敗だった」とロシアメディアやロシア人が嘲笑するでしょうし、メドベージェワが感じるプレッシャーは相当なものがあったと思います。
しかしそれを跳ね返すような強い視線でタンゴで踏み出したメドベージェワ、冒頭の3Lz+2T+2Tを強引に繋ぎ合わせ、2Aと3Lzも気持ちでの跳躍(ルッツはエッジが微妙)。
スピンやコレオにはこれまでにないような振り付けを入れ、新鮮さはあったものの、フットワークや動きに切れがないのでタンゴの雰囲気はなかなか出てきません。
それでも2Aをしっかり跳び、後半ボーナスの3F+3Tと3S+3Tを力技で捻じ伏せたのは凄まじい迫力でした。
ただ、3Loは踏み切りが弱く(UR)、コンビネーションスピンでは早くも顔が真っ赤になってスタミナ切れは明らか。体力自慢のメドベとは思えません。
それでも、終盤のステップは重たい身体を気持ちで引っ張る執念のダンス。技術を超えた演技に引き込まれた観客や視聴者が多かったのではないでしょうか。
最後のスピンも弱みを見せずに回り切り、女王のプライドが溢れる炎のタンゴでした。天晴れ、ジェーニャ!
FSは137.08(66.52・70.56)、合計197.91。
演技全体の出来栄え(GOE)の問題もあってスコアは伸びませんでしたけど、基礎の確かさは揺るぎませんし、後はフィジカルコンディションを上げてゆくだけですね。
スケーティングやジャンプの質(その場跳びからの脱却)が確実に進歩していること、”点取り”ではなく自分がやりたいプログラムを探求できるという意味でもカナダ移籍は正解だったと思います。
いままでは時分の花、ここからがまことの花です。

メドベージェワ同様、なんとも滑りが重たかったのが樋口新葉さん。
昨季は本人も「たまたま」と謙遜しながらも世界選手権で銀メダルを獲得し、今季はそれを”必然”にしたいところですけど、SPは66.51(34.02・32.49)で大きなミスなく2位で乗り切ったものの(フリップにエラー)、FSは冒頭が2Sに抜け、続く3Lz+3Tもセカンドが力なくURか。
繋ぎの滑りやスピンにも元気がなく、苦手の2Aは決めたものの、後半ボーナスの3Lz+3Tに勢いがなくまたしてもUR気味、3Loは完全に身体が開いてダウングレード、スピードが落ちて無理に跳んだ3Fもステップアウト。
目も当てられない惨状となり、『四季』も冬しか感じませんでしたけど、最後の2Aに+2T+2Loを付けてリカバリー、ステップでは挑発するような面白い振り付けを披露して会場を沸かせたのは会場のお客さんへの最低限のサービス。
ただ、疲労はピークに達していたのか、ステップからコレオの流れは身体もぐったりしてきて、ヘアカッタースピンでフィニッシュした樋口さんはまさに青色吐息。お疲れまでした…。
FSは114.78(52.37・62.41)、合計181.29。
足に怪我があったとかで練習不足のようですが、本当に残念な大会になってしまいましたね。
その調子云々はおいておいても、昨季からの進歩や変化も見られませんし、今後のシーズン全体が不安になってきます。
五輪シーズンの昨季に全力を出し過ぎて、今季は気持ちが上がらないのかもしれませんが、1年でも足踏みをすればその分だけ悲願の五輪が遠のいてしまいます。
新葉のリベンジロードはこれからのはずですぜ!
(新星が煌めいた後編に続きます。)
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