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2018GPSスケートカナダ・女子シングル(後) 三者三様の喜び 

(続きです。)
他の日本女子に元気がないなか、存在感を発揮したのはGPSデビューの山下真瑚さん。
SPでは浮き上がるような3Lz+3Tで華麗にスタートすると、2Aと後半の3F(エッジが微妙)も着氷し、小気味よいスピンと軽快なステップでフレッシュな『セビリアの理髪師』を演じ切りました。緊張した様子もなかったのは驚きです。SPは6630(TES3541・PCS3089)の3位。
メダルも射程に捉えたFSの『蝶々夫人』でもスピードに乗った助走から3Lz+3T+2Tを鮮やかに決め、3Fと2Aも何事もなく揃え、的確なスピン、イナバウアーや足上げの姿勢で彩るコレオも乱れがなく、その流れからのカウンター2Aも成功!
最終滑走でしたけど、このルーキーにプレッシャーはないのか!?
舞を舞うようにして後半へと繋ぎ、勝負のカギを握る3Lz+3Tもふわりと決めた!
これで笑顔の花も咲き、スケートもより滑らかになってからの3Lo、ステップでは情熱を込めたターンと恋情を刻むような深いエッジで世界を膨らませ、3S+2Tも終盤とは思えぬ出来栄え。
そしてシットからのコンビネーションスピンを集中したまま回り切った山下さんは満足感の溢れる素晴らしい笑顔を浮かべていました。
いやあ、これはノーミスというより、自分の出来ることをやり切ったパーフェクトに近い演技でしたね。スタンディングオベーションしたくなるような内容でした。
FSは136.76(71.76・65.09)、合計203.06! 
思ったより高いスコアでしたけど、正確で瑕疵がない演技というのは、今季からの方向性に合致したものですから、ジャッジも高く評価したのかもしれません。
山下さんは昨季の世界ジュニア3位ですが、1位2位はまだジュニアに留まっているので(年齢基準)、今季の新人では最も注目の選手ということになりますし、いい演技を繰り返してゆけばスコアもどんどん伸びてゆくはずです。本人も今回の内容と結果を自信に繋げていって欲しいですね。

山下さんは山田満知子コーチが「フィギュアに必要なものはすべて持っている」と評するように、身体がちょっと硬い以外には欠点らしい欠点が見当たらない選手です。
山田コーチのところは個性も癖も強い選手を数多く輩出してきましたけど、子供の頃から尖ったところのない山下さんは異質な存在といっていいでしょう。
しかし、ジャンプに関していえば、助走から着氷までのジャンプの流れが天才的。力みがなくて驚くほどスムースです。この部分は現役ナンバー1かもしれません。振り付けのこなし方を見ても真面目な性格が伝わってきますし、本当に好感の持てる選手です。
最近では三原麻依さんが似たタイプのスケーターですけど、ひょっとするとこれが日本女子の典型になってゆくかもしれませんね。

今大会はメドベージェワが優勝候補だったのは間違いありませんが、ダークホースとしてまず挙げられたのはエリザベータ・トゥクタミシェワでした。今季は3Aを解禁し、ロンバルディア杯でも優勝していましたからね。
ただ、3Aは成功率の高いジャンプではありません。3Aを武器に15年世界女王に輝いたトゥクタミシェワもそれが不調になった以降のシーズンでは成績も低迷し続けています。
3Aをプログラムから外せば基礎点が落ちる、入れれば負担が増える、という戦いというわけです。
そしてこのスケートカナダはどうだったかというと、SPの冒頭で見事に決めた!
これで気分の高揚したのか、その後の3T+3Tと3Lzも浮き上がるな彼女らしいジャンプを披露し、スコアは7422(4239・3183)で堂々の首位。
繋ぎの部分を薄めたり、苦手のスピンやステップでも”やれることだけやる”とベテランらしく割り切ったことで演技全体の完成度が高くなってといっていいでしょう。
FSの『You Don’t Love Me』でもその方針は変わらず、3Aは残念ながら転倒してしまったものの、それに動じることなく3Lz+2T(予定は+3T)と3Lzを揃え、シンプルなレイバックスピン、妖艶に踊るステップシークエンス。
後半はボーナスにかからない2A+3Tを軽々と決め(ここも割り切り)、3Loと3Sも余裕綽々、表情と手の動きだけのコレオで会場とジャッジをねめまわし、2A+2T+2Loをちゃちゃっと降りると、最後は女王の貫禄たっぷりのスピンを2つ重ねてのフィニッシュ。手堅かったですねえ。
あんたたちは私を好きじゃないかもしれないけど、勝ったのは私よ!
そんな演技でした!
FSは129.10(65.26・64.84)、合計203.32。
最終滑走の山下さんが肉薄して焦ったでしょうけど、なんとか逃げ切っての復活優勝。GPSでは14年中国大会以来ですから本人もぐっとくるものがあったはずです。本当におめでとう!
チカラのあるベテランの復活は女子フィギュアを大いに盛り上げることでしょう。
…と、ここまで”ベテラン”と繰り返してきましたけど、まだトゥクタミは21歳(96年12月生まれ)なんですよね…。それなのにあの風情…。
生き急ぎすぎ!

この結果、優勝は4年ぶりのトゥクタミシェワ、2位はデビュー戦の山下さん、3位はSPから維持の巻き返しを見せたメドベージェワ。三者三様に意味のある大会となりました。今後も3選手に注目したいですよね。
そんななか、日本のメディアは山下さんを「真央2世」みたいに煽り始めていますけど、選手としての個性もまったく違いますし、演技をもっとよく見て欲しいものです。
その”よく見る”でいえば、帰国した山下さんは「シニアのトップ選手は上半身の動きが大きくてオーラが違う」と感想を述べていました。
自分に足りないものを貪欲に吸収しようとしているこの15歳には浮ついたところはまったくありません。
メディアの人間たちよりもずっと大人かもしれませんね。
本当にいい選手に育ちました!
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