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2018GPSフィンランド大会 ザギトワvs日本女子

この2018-19シーズンのフィギュアスケート(シングル)は、”GOE割合増・後半ジャンプボーナス制限・FSジャンプ本数減(男子)”を柱とする大幅なルール改定が行われ、男子はその影響が顕著ですが、女子にとってはそう大きな変化はなく、GPS2戦が終わった段階でも演技内容とスコアの関係は昨季とほぼ同様といっていい状態でした。
ただ、女子のなかにはひとりだけ今回のルール変更によって大きな影響がある選手がいるんです。
それは五輪女王アリーナ・ザギトワ。
昨季までの彼女の演技の一番の特徴は、SP・FS両方でジャンプを全て後半に固めるという戦略でした。
これによって後半ボーナスを普通の選手の倍近く獲得することができたわけです。
しかし今季からは他選手との間にあったトータル2~3点ほどのアドバンテージを失うことになり、ザギトワの心中は穏やかではないでしょうし、逆にライバル勢にはチャンスが膨らむことになります。
そのザギトワのGPS開幕戦となるこの第3戦フィンランド大会には、五輪6位の実力者・・坂本花織さんも出場していますから、今季の女子シングルの様相がある程度占えるかもしれませんね。

そんな興味で始まった女子SPでしたが、ザギトワが冒頭から3Lz+1Loという大きなミスをやらかして、青ざめたキスクラで待っていたのは68.90(TES33.13・35.77)という彼女にしたら泣きたくなるようなスコア。
ザギトワの3Lz+3Loは昨季もクリーンに決まる確率がそう高くはありませんでしたけど、+1Loになったことはなかったので、私もかなり驚きました。この数ヶ月で身長がずいぶん伸びて、特に足が長くなっているので、やはりバランスが取りにくいのかもしれませんね。

このザギトワのミスによって下剋上が見えてきたのは入れ替わりでリンクに入ってきた坂本花織さん。
前のアメリカ大会で2位でしたから、今回2位以上ならGPF進出もほぼ決まりますし、これは本当に大チャンスです。
ところがその坂本さんも冒頭の3Fで転倒するというまさかのミス。
チャンスが気負いになったのか、ザギトワの涙で会場の雰囲気が凍り付いていたせいか。
しかも坂本さんはそのミスを取り返そうと、後半の3Loに無理やり+3Tを付けにいってこれまた転倒(回転不足UR)。
私も言葉がありませんでしたけど、フィニッシュした坂本さんも顔を覆って涙をかみ殺すのみ。
SPは57.26(26.93・32.33・減点2)。

この結果、坂本さんはSP7位となってしまってまさかのFS最終グループ漏れ。
そのかわりに日本女子で気を吐いたのは63.77(33.29・30.48)でSP2位の白岩優奈さん。
ジャンプをしっかり決めただけではなく、彼女らしい伸びるスケートも見事でした。
そしてSP1位は、ミスをしてもやっぱりザギトワ。坂本さんがやらかしたのと、伏兵コンスタンティノワ(62.56)にも転倒があったので助かりましたね。

こうして波乱の予感をはらんで始まったFSですが、第1グループの坂本さんが素晴らしい演技で調和への道を指示します。
代名詞のマイムで幕を開けた『ピアノレッスン』、どこまでも伸びるスケートからの3F3はエクセレント!SPのリベンジ!
カウンターからの2A、鬼門の3Lzも乗り越え、華麗なターンからのFシットスピン、ステップシークエンスでは指先足先まで意識した振り付け、片足ステップでの伸びもお見事、とても集中していました。
その流れのまま3Sを鮮やかに跳び、後半ボーナスの2A+3T+2Tもよし!
やや疲れが見えるなかでの3F+2Tも的確に決めるのは凄い馬力、コンビネーションスピンの足上げも力強く、応援したくなるコレオではスパイラルポジションのキャッチ外れるも、どうにか流れを掴んだまま最後の3Lo!爽快なジャンプ!終盤でこの質で跳べるのは坂本さんだけ!
締めのコンビネーションスピンも丁寧に仕上げた、坂本さんはよっしゃあ!という大きなガッツポーズ。実力を見せつけました。
それにしても本当に強い、メンタルもフィジカルも。
FSは140.16(72.96・67.20)、合計197.42。これで表彰台も見えてきた。
今季はSPもFSも繊細なプログラムに挑戦している坂本さんですが、いまはまだ振り付けを丁寧にこなすことで精一杯という印象です。これがシーズン後半は無意識になるといいですね。昨季からの進化も止まりませんし、それが出来る選手だと思います。

坂本さんが重しとなった最終グループですが、スタニスラワ・コンスタンティノワがその飾らない美貌を生かした『アンナ・カレーニナ』を好演。
3Lz2本・3F2本という難度の高い構成をノーミスだったのも素晴らしかったですし、得意のターンでステップシークエンスを彩っていたのも印象的でした。GPSデビュー戦とは思えぬ落ち着きぶりでしたね(最後は疲れて足がガクガクしていましたけど)。
FSは135.01(73.57・61.40)、合計197.57でわずかに坂本さんを上回った!
スコアに出ているように技術面ではかなりまとまった選手ですが、表現面では全体的に動きが甘く、スケートにスピードがないのでプログラムが退屈な感じになってしまっています。今後そこが改善されてゆけばロシア代表の3枠にも入れるかもしれませんね。

SPのリードやそのポテンシャルから優勝はまず間違いないアリーナ・ザギトワですが、本人からすれば”女王らしい勝ち方”にこだわっていたはずです。
今季のFSは『カルメン』。したたかな大人の女性を演じるならば、もうそこに涙はいりません。
出だしからシークエンスのような繋ぎでドラマチックに劇をスタートさせたザギトワ、片足ターンからの2Aを華麗に決めると、タノ3Lz+3Tは強引に、3Sは軽々、後ろ足上げから入る難しい2AもOK!
ジャンプを序盤に固め打ちするザギトワがなんだか新鮮。
踊るようなフライングからのキャメルスピン、イナバウアーやクリムキンのコレオで前半を終わらせると、後半冒頭はSPでミスをした3Lz+3Lo!流れは悪かったものの力でねじ伏せた(URか)!この気持ちの強さが若き女王の誇り!
続く3F+2T+2Loはしっかり決め、両手タノの3Fは惚れ惚れする出来栄え。
コンビネーションスピンは体型変化のせいかやや窮屈そうで歯を食いしばるような表情、ステップでも長い脚が重ったるそう、それでも動きが止まらないのですからやはりスタミナは抜群。結びのスピンも劇的にまとめ、女王の権威を守り抜きました。
もともとミスが少なくない選手ではありますが、ここ一番に強いのはさすがです。お見事でした!
FSは146.39(74.28・72.11)、合計215.29。
いまのザギトワは身長が伸びたせいでジャンプや動きのバランスが狂っているのは間違いありませんが、持ち前の運動能力でそれを捻じ伏せているといった状態でしょう。一時のラジオノワと似ていますね。
弱点のスケーティングスキルも放置されたままですし、今季の女王争いは混沌としてきそう。

初メダルがかかったSP2位の白岩優奈さんはそれを意識し過ぎたのか、ジャンプ全体に思い切りが欠け、回転不足が目立ってしまいました。ポカ癖が出なかったのは良かったものの、攻めの気持ちが欲しかったですね。
下半身の柔軟さを生かしたスケートで『展覧会の絵』の雰囲気が出ていただけに残念。
FSは127.69(64.59・63.10)、合計191.46。
上品さが売りの選手ですけど、闘争心が欲しい!

こうして確定した順位は、1位ザギトワ、2位コンスタンティノワ、3位坂本さん。
ザギトワの執念は見応えがありましたし、コンスタンティノワがデビュー戦でメダルを獲ったのも素晴らしかったですし、坂本さんの巻き返しもドラマチックでしたし、本当にエキサイティングな大会でした。
日本勢も白岩さんが惜しくも4位、本郷理華さん(156.59の10位)もSP『キル・ビル』・FS『ナザレの子』ともに魅せるプログラムだったと思います。
GPSフィンランド大会は初開催でしたけど、ヘルシンキのお客さんも満足だったのではないでしょうか。
ベルギーのルナ・ヘンドリックスがSP3位、総合5位(191.22)と健闘したのも低迷続く欧州女子としては明るい話題でした。

日本でのテレビ放送も羽生結弦人気につられて16.2%(FS)という高視聴率だったようですし、日本での女子シングル人気も上昇するといいですね!
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