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2018NHK杯・女子FS(前) 嵐を呼ぶ紀平梨花

SPが終わり、上位が僅差でひしめき、順位予想が難しくなった2018NHK杯・女子シングル。
ひとつのミスが勝敗を分ける緊迫のFSは、選手とそのファンを大いにヒリつかせるでしょうけど、競技としてはこれ以上ない楽しみな状況。エンターテイメントとしても極上といっていいでしょう。
もちろんその喜びを享受するのは観客やテレビ視聴者だけではありません。
今回は40周年記念大会だけに、接戦を制して勝者となれば、歴史に大きく名を刻むだけではなく、スターとしての地位を得ることにも繋がります。
これほど美味しい舞台はないんです。
栄光は苦しみの先にある!
というわけで、想像を絶する戦いとなった女子FSを振り返ってみたいと思います。

まず第1グループ、SPのコンビネーションジャンプ転倒で涙を飲んだマライア・ベルがそれを挽回するようなノーミスの演技。3F×2・3Lz×2の構成をまとめ上げたのは大したものです。
FSは135.99(TES71.42・PCS64.57)、合計198.96。
今季は全米女王のチャンスもあるでしょうし、飛躍のシーズンにしたいですね。
第2グループでも第1滑走のイム・ウンスが1ミスでまとめ、126.53(63.98・63.55)の合計196.31。

いいスコアが出始めて、いよいよ広島の会場も温まってきたはず。
そして登場するのは紀平梨花。
SPでは3Aの転倒があって首位トゥクタミとは6点強の差がついたものの、FSでは基礎点が4点強上回っているのに加え、全体のGOE(出来栄え点)も確実に紀平さんの方が取れる。
つまり、FSノーミスならば後で滑るトゥクタミがノーミスでも勝つことが出来るということであり、”戦う相手は自分”ということ。
しかし、よくいわれるように紀平梨花の弱点は”メンタル”。
ジュニア時代もここ一番でジャンプがパンクし、ジュニアGPファイナルでも世界ジュニアでもメダルを逃してきました。
そういう自分に打ち勝ことができるのか、それともジュニア時代と同じ道を辿るのか、GPSデビューとなるこのNHK杯は未来への試金石です。

そんなFSの注目はもちろん冒頭から続くトリプルアクセル2連発。
SPでの転倒が生々しく残るなか、決めてくれえええ!という会場の願いを受けた紀平梨花、昨日と違う力強い踏み切りから3A+3T!大成功!彼女しか出来ないジャンプを見事に決めた!
続く単独3Aも男子みたいに大きく跳んで爆発的な立ち上がり!
3Loも余裕で降りると、エネルギーに満ちたコンビネーションスピン、股関節の柔らかさと身体のバランスが際立つステップシークエンス。腕が長いので見栄えもします。
中盤の3Lz+2Tを疾風のように跳び、勝負がかかる後半も思いきりのいい3Fで入ると、ピンとしたビールマンを挟んでの3Lz+2T+2Loもお見事!
シットスピンからコレオという終盤の流れも勢いは落ちず、最後は確信に満ちた3Sからの舞い納め。
震えるようなスタンディングオベーションのなか、軽くガッツポーズした紀平さんはほっとしたような満足げな笑みを浮かべていました。やり切りましたね。
それにしても本当に嵐のような『A Beautiful Storm』、息つく暇のない圧倒的な4分間、フィギュアスケートの歴史が動いたといっても過言ではありません。
FSは154.72(87.17・67.55)、合計224.31!技術点が凄すぎる!

技術要素はマイナスする部分が見当たらず、パーフェクトに近いノーミスの演技でしたし、ジャンプはどれも高品質でした。
ステップ難度の高い振り付けをしっかりこなしていましたし、やや苦手としていたスピンがまとまっていたのも大きな進歩ですね(レベルもオール4)。
ただ、表現面では全体的に一本調子でせかせかしていて、音を取るのではなく振り付けをなぞっているという印象です。
身体の使い方やフットワークなど、表現技術はかなり確かなものを持っているように見えますけど、やはりそこも問題はメンタルだと思います。気持ちにもう少し余裕が出てきたら、またガラッと雰囲気が変わるに違いありません。
もちろん、いずれにせよ”伸びしろ”です。
紀平梨花はもっともっと良くなります。
そうしたら誰も手をつけられない!

次代を担う新星の爆誕によって会場が異様な盛り上がりを見せるなか、普通なら後に滑る選手はおかしくなりそうなものですけど、百戦錬磨のアリョーナ・レオノワ27歳はまったく動じることがありませんでした。
得意の3T+3Tを鮮やかに決め、2Aを挟んでの苦手の3Lzも着氷させると、そこからもノーミスペースで要素を積み上げ、最後の3Sで惜しくもお手つきしてしまったものの、終盤のステップでは大きな表情とはったりが利いた芝居で『マスク・オブ・ゾロ』を勇壮に仕上げ、7度目のNHK杯でも大きな声援を浴びていました。
日本人選手以上にお馴染みですから、ある意味”ミスNHK杯”ですね。
全盛期のように身体は動かず、スケートも滑りませんが、それでも魅せるのはさすが。ブラヴォ!
FSは125.93(63.07)、合計194.15。

こうしていい演技が続く流れのなか、三原舞依さんも伸びやかなスケートからの3Lz+3Tでスタート。回転不足(UR)を取られたSPより勢いはあったので気合は入っている(結果UR)。
そこからは『ガブリエルのオーボエ』の清澄な空気を作るコレオからブラケット2A、降り繋ぎが美しい3Lo、中盤の3Fもしっかり決めて三原さんらしい正確な演技。
ただ、後半ボーナスの冒頭が2A+2T(+3T予定)になってしまったのはもったいない、続くスピンもややリズムが崩れて嫌な感じ。
それでも3Lz+2T+2Loを滑らかに揃えて立て直すと、ダブルタノ3Sも綺麗に決めて小さくガッツポーズ!
ちょっとやそっとじゃ崩れないのが三原舞依の強さ!
ステップは昨季からの持ち越しプログラムということもあって完成度が高かったですし、結びのスピンにも乱れがなく、透き通るような余韻を残すフィニッシュ。
FSは133.82(67.71・66.11)、合計204.20。
丁寧ににひとつひとつを積み上げてゆく心地よい緊張感は三原舞依らしい世界でした。初のNHK杯でもその魅力を存分に発揮できたと思います。
ただ、”勝てる演技”という観点でいうと、本人がいうようにもっと「パワー」が欲しいですし、勝利への執念が欲しい。
三原さんに足りないのはそれだけ!
(思いがけず長くなってきたので後編に続きます。)
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