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2018NHK杯・女子FS(後) 伝説の大会

(続きです。)
暫定首位の紀平さん(224.31)に勝つにはパーフェクトに近いFSが求められるエリザベータ・トゥクタミシェワでしたが、冒頭の3Aが軽くオーバーターン。
3Aという超高難度ジャンプですからこれくらいのミスは許容範囲といいたいものの、紀平さんがそれをビシッと揃えているだけに厳しい状況に(SPより出だしの滑りがちょっと硬かったかも)。
ただ、この後の3Lz+3Tが綺麗に入ったのは今後に向けても光明。凄く久しぶりだと思います。
単独3Lzも彼女らしいバネを見せ、怪しく踊ってからのステップでも独特の手先の使い方で華やかさを出し、身体や足元はそんなに動かなくても、音楽の捉え方にはやはりセンスがある。
中盤の2A+3Tも颯爽と跳び、大事な後半ボーナスパートも鮮やかな3Lo、吠えるような3S!
観客を囃すようにした入ったコレオではクリムキンで鞭を打ち、会場を大いに盛り上げて拍手をもうらうと、2A+2T+2Loを丁寧に揃え、音楽表現を意識したシンプルなスピンを2つ重ねて貫録十分の演技。
元世界女王の実力を見せつけました。
『You Don’t Love Me』でしたけど、広島のお客さんはスタンディングオベーションでしたから日本では大人気です。
日本のフィギュアファンは自国選手のライバルでも、”いいものはいい”という感じで声援を送るので本当に素敵。
今大会は3Aジャンパー2人という奇跡の揃い踏みでしたし、広島に行ったお客さんは本当にラッキーですね。
FSは142.85(TES76.21・PCS66.64)、合計219.02。紀平さんには及ばなかったものの堂々たるスコア。
今季のトゥクタミは技術が安定しているだけではなく、他選手を意識せずに自分がやれることをやるというベテランらしい落ち着きがあって、演技が本当に明確です。ですから観ていても本当に楽しい。やはりいいスケーターですねえ。
GPファイナルも決定しましたし、これからも大暴れに期待!

そうしていよいお最終滑走、日本女王・宮原知子の出番です。
こちらも優勝するには完璧な演技が求められるわけですが、それが机上の空論にならないのが宮原知子という選手。
強く迷いのない瞳で始まった『『ブエノスアイレスの冬』、黒いクールな衣装で鋼の肉体を包んだ宮原さんは3S、3z+3Tをビシッと決めてのスタート。
得意の両回転スピン、大きく跳ぶ3Lo、コンパクトなキャメルスピンという流れにも隙がありません。
ステップでは深いエッジで驚くような身体の倒し方をして技術を見せつけるも、最後の方はやや勢いが落ちたか。ギリギリの戦いだけに物凄い緊張感ですしね。
その勝負のためにも大事になる中盤の3Lzを乗り越えると、得点源の後半ボーナスパートも得意の2A+3Tを決め(回転が微妙か)、バレエジャンプやしなやかな体の動きで彩るコレオを挟んでの3F+2T+2Loも成功!終盤に入ってもスタミナが落ちない!
ウォーレイからの2Aでジャンプを終わらせ、踊るようにしてからのビールマンスピンは相変わらずお見事、本人も観客も納得の演技だったと思います。
このギリギリの戦いのなか、プログラムの流れとリズムを計算しながら図面を正確に描いてゆくだけではなく、”表情”もしっかり作り込まれているのですから、「さすが」の一言です。
やっぱりさとちゃん凄いわ。女王だわ。
ただ、前のスケートアメリカのとき(145.85)と比べると、ジャンプの回転が怪しい箇所があったので紀平さんを上回るのは難しいか。
そうして出てきたFSのスコアは143.39(71.89・71.50)、合計219.47で、やはり届かず。
しかし立派な2位です。普通の大会なら優勝していてもおかしくないスコアと内容でした。
ただ、キスクラの宮原さんはスコアを見ながら怪訝な表情。
それが気にかかって私もスコアをもう一度よく見たんですけど、これちょっと技術点が低いですね。
スケアメのときは75.00でしたけど、今回2A+3Tが回転不足(UR)判定でもそこまでは下がりません。
プロトコルで確認すると、3連続にもURがついていただけではなく、なんと3Lzの2本とも”!”マーク、つまり「エッジが怪しい」という判定が付いていたんです。
GOEはマイナスにはなっていませんでしたけど、宮原さんのルッツのエッジっていままでエラーがついたことはなかったはずですし、前日のSPでもクリーン判定でした。
それなのに唐突に付けるなんておかしいでしょ!
宮原さんの”!”はフリップが常なのに今回はそこがクリーンですし、意味が分かりません。
濱田美栄コーチは軽く抗議を入れて欲しいですね。
宮原さん本人は気にせず、自分を信じてジャンプを跳び続けるしかありません。
いままでもそうしてきましたしね!

こうしてFSが終わり、優勝は紀平梨花さん、初出場初優勝の快挙!おめでとう!
2位は宮原さんと3位のトゥクタミも優勝に値する内容でした。3選手とも金メダルを上げたいくらい。
NHK杯は今年が40周年とのことですけど、ここまでハイレベルな戦いはなかったのではないでしょうか。
本当に凄かった。長く語り継がれる伝説の大会になったと思います。
そういう全力を尽くした戦いだっただけに、表彰式の3選手の清々しく、なんとも美しい光景でした。
またそこで宮原さんが同門の後輩にあたる紀平さんを称えながら、なんども微笑みかける姿は立派でした。悔しくないはずはありませんからね。
フィギュアスケーターは自分のことでいっぱいいっぱいになりがちですから、これが出来る選手は本当に少ない。
宮原さんならではの人間性といってもいいでしょうし、こういう振る舞いを含めて、やはり彼女は日本女子の模範なのだと思います。

それにしても今大会の紀平さんの煌めきは眩いほどでした。
女子フィギュアの限界を広げた演技といっていいでしょうし、まだまだその先があることを予感させるような躍動感がありました。
長らくロシアに支配されていた女子フィギュアも、ようやくその勢力図が変わるときがきたといっていいでしょう。
ロシアの名コーチ、タチアナ・タラソワも「紀平に衝撃を受けた」を感想を述べています。
昨季までの紀平さんはポテンシャルはありながらも勝負弱く、ロシア勢にしたらそう脅威を感じていなかったでしょうけど、今季の紀平さんは”本物”です。

その要因は”パンク癖の克服”ですね。
パンクというのは、ジャンプを踏み切った後に着氷失敗の可能性を感じて回転途中で軸を解いてしまうことをいいます。
”転倒を恐れた結果”といってもいいでしょう。
現行ルールでは転んだとしても予定ジャンプに挑んでいった方が点数が出ます。
もちろん、転ばずになんとか堪えるという場合もありますし、逆にパンクしてしまえばもうどうしようもありません。
ちなみにロシアの若手女子はパンクをほとんどしません。
才能があっても勇気がなければ勝てないということです。
紀平さんのジュニア時代はまさにそれでした。
しかし今季の彼女は9月のオンドレイネペラ杯、このNHK杯と一度もパンクがありません。
これは彼女の変化として特筆すべきことです。
シニアに上がるにあたり、ジュニアと同じ轍は踏まないという彼女の強固な意志を感じます。
その背景に刻苦の修練があることは想像に難くありません。

紀平梨花の勝利とともに、その勇気を称えましょう!
そして、伝説の始まりを喜ぼうではありませんか!
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