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2018GPSロシア大会・女子シングル ザギトワの隙と執念

この2018-19シーズンの女子シングルは”ロシア×日本”という構図が鮮明になっていますけど、それはこのGPS第5戦・ロシア大会でも変わることはありません。
女王・ザギトワを含むロシア勢相手に、日本女子がどこまで表彰台を奪うことができるか、そこが注目です。

ところが今回、日本の中心選手として出場する予定だった樋口新葉さんが右足甲の怪我のため欠場。
大きな戦力ダウンとなりましたが、代役で出場した白岩優奈さんがSPでは60.35(TES30.17・PCS30.18)で日本勢トップの5位。
FSでも大きなミスなく滑り切っての120.58(60.73・60.85)、合計180.93というのは急遽出場した割りにはよく健闘したと思います。
ただ、課題の回転不足(UR)はやはり顕著で、SP・FS合わせて5ヶ所取られていますけど、どのジャンプも高さがないので回転がぎりぎりになってしまっています。ここを改善しない限り、なかなかスコアは伸びません。スピンも集中力にかけますしね。
スケーティングは目を見張るものがありますし、このままじゃもったいない!

怪我といえば、夏に右足首を負傷した松田悠良さんはそれを押してGPSに参戦したものの、フリップとルッツが跳べないこともあって、前のカナダ大会では11位。
今回はより状態が悪化したのかジャンプだけではなく演技全体に精彩を欠き、SPは52.00(25.08・26.92)。
FSではコンビネーションジャンプすら入れらないばかりか、スケートも思うように進まず、85.99(32.31・54.68・減点1)、合計137.99。
今季松田さんがGPSに参戦できたのは、昨季記録した195.56(ロンバルディア杯)が女子のベストランク23位だったためですから(24位までに出場権)、いわば自力でもぎ取ったものです。
だからこそいくら状態が悪くとも出場したかったのでしょうけど、その選択が正しかったのかどうか…。
このロシア大会後に手術するそうなので、しっかり治して来季に備えて欲しいものです。

今回の日本女子のエース格はGPSデビューのスケートカナダで2位に入り、一躍脚光を浴びた山下真瑚さん。
ロシアでも表彰台に立てばファイナルも見えてきます。
しかしそれがプレッシャーになったのか、SP冒頭の3Lzでステップアウトしてコンボにならないと、後半の3Fでリカバリーしようとして転倒。
ジャンプミスでがっくりきたのか演技全体にも精彩を欠いて51.00(23.25・2875・減点1)。
これでファイナルの夢は散ったかに思われましたけど、SPが終わって3位(63.43)以下はあまりスコアが伸びなかったので、FSでスケートカナダ(136.76)のときのような思い切りがあればまだまだチャンスはあるかも。
ただ、FSでリンクインする山下さんの表情は見るからに硬く強張り、冒頭の3Lz+3T+2Tもギクシャクした感じでUR気味、3Fは転倒寸前のお手つき、中盤は持ち直したものの、後半ボーナスの3Lz+3TはDGのような着氷、3Loも慎重になって、ステップシークエンスを経ての3S+2Tも大きく着氷を乱してしまいました。
重苦しい雰囲気のなか、『蝶々夫人』のメロディが切なかった…。
FSは110.22(52.33・57.89)、合計161.22。
シニアではやはり”気持ちの戦い”という部分が大きくなってきます。今回をいい経験にしてより大きく羽ばたいて欲しいですね。技術はしっかりしたものがあるのですから自信を持って!

そしてその”気持ちの戦い”に苦しみ、摂食障害を負って昨季全休したのはアメリカのグレイシー・ゴールド。
復活の第一歩としたいこのロシア大会でしたが、フィジカルコンディションが整わず、SPでは2Lz+2T、3F転倒、1Aとミスが相次いで37.51(13.50・25.01・減点1)。得意のスピンもポジションが取りにくそうでした。
スケーティングや身ごなしにかつての片鱗があるだけに私も悲しい気分になりましたが、体重増加に苦しみながらも勇気を持って国際舞台に戻ってきたグレイシーを誇りに思いますし、心から応援しています。
SPのキスクラで泣き崩れたグレイシーはFSを棄権することとなってしまいましたが、もうひと踏ん張りして摂食障害と戦う多くの女子選手の希望になってくれることを願っています。

ロシアという国は毎年のように”天才少女”を輩出すると同時に、高いレベルでまとまった実力者を何人かシニアに送り込むのですから、その層の厚さこそが強さの基盤なのだと思います。
そんな今季の実力者のひとりがソフィア・サモドゥロワ。
スケートアメリカでは3位表彰台に立っています(198.70)。
このロシア大会でもSPから安定した演技を披露し、3F+3T、タノ3Lo(やや詰まった)、2Aを揃えて67.40(37.00・30.40)。
FSでもトリプルジャンプ5種7本という構成を無難に乗り切っての130.61(67.07・63.54)、合計198.01。スケートアメリカのデジャヴのような内容とスコアでした。
欠点としてはジャンプが低空でGOEが伸びず、URの心配もある選手ですが、他の部分には問題がなく、演技に集中するタイプということもあって、まとまりのあるいい選手です。
ロシア女子にしては珍しくスケーティングを演技のベースにしていて見栄えがしますし、美人なので人気も出そう。
気の強そうな顔立ちを意識してのSP『ミッションインポッシブル2』、FS『バーレスク』という選曲もよく似あっています。

鮮烈デビューの昨季、五輪でその輝きを爆発させて金メダルを手にしたアリーナ・ザギトワ。
その隔絶した実力と愛くるしいルックスで女子シングルの中心に座る彼女ですが、今季はそれを確固たるものにし、”ザギトワ時代”が始まったことを決定づけたいところ。
しかし、昨季から7cmも身長が伸びたせいか、前のフィンランド大会ではジャンプが安定せず、優勝はしたものの(215.29)、ライバル勢に大きな”隙”を見せることとなりました。
それが恒常的なものならば、今季の様相は一変します。
そういう意味でも大きな注目が集まったSPですが、冒頭の大技3Lz+3Loを力強く決めると、ステップシークエンスでも足さばきと身ごなしに力感が増していて、真に迫る『オペラ座の怪人』。
難しいカウンターからの2A、タノ3Fも見惚れるような跳躍で、クリスティーヌの恋心も天に届くかのようなパーフェクトの出来でした。
本当に素晴らしかった!ブラヴォ!
SPは80.78(43.53・37.25)。
このように実力と貫録を見せつけた演技だったわけですが(難はスケートが進まないところくらい)、昨季に比べてジャンプが強引で、スピンのポジションも取りづらそうにしていることは確かです。
それを長丁場のFSでどう乗り切るか、みなが試験管のようにして今季の状態を見守るなか、気合の入った踊りで『カルメン』をスタートさせたザギトワ、序盤は2A、3Lz+3T、3Lo、2Aを千切っては投げという感じで成功させ、その勢いのままコンビネーションスピンとコレオシークエンス。
芝居っ気はありませんが、身体はがちゃがちゃとよく動きます。
そして勝負の後半ボーナスパート、まずは3Lz+3Loを強引にまとめ、3F+2T+2Loも力で身体を引っ張り上げると(両ジャンプともURか)、そこでエネルギーが切れたのか3F予定は墜落するような2F。
体力の枯渇は明らかでしたけど、ステップシークエンスは女王の意地で複雑な振り付けをねじ伏せ、最後のスピンも歯を食いしばるようにして綺麗なフォームを保っていました。やっぱり根性が凄い。
ただ、全体に一本調子で、音楽の変化にも上手く乗っかれず、『カルメン』の演劇性を表現しているとはいい難いものがありました。昨季もそうですけど、FS4分間の流れを作るのは得意ではないようです。
FSは142.17(68.68・73.49)、合計222.95。
優勝を決定づけるようなスコアでしたけど、キスクラのザギトワは惨敗したような涙目に。
五輪女王として鳴り物入りで出場した地元ロシア大会だというのに、2戦連続でFSをまとめられなかったことがよほど悔しかったのでしょう。
崩れ方も2戦ともにスタミナ切れが原因ですし、今後のシーズンに向けて嫌な感じが残りました。
逆にライバル勢は意気が上がったに違いありません。

こうして競技が終わり、優勝はザギトワ、2位がサモドゥロワでロシア勢のワンツー。
3位は有力選手のミスが相次ぐなか、FSをまとめたイム・ウンス(185.67)が嬉しい初表彰台。
日本女子は白岩さんが5位、山下さんが7位、松田さんが9位という寂しい結果となりました。
日本の3選手とザギトワには大きな実力差があるのはいうまでもありませんが、”状態が悪いなか、プレッシャーがかかるなかでどう戦うか”という意味でも、ザギトワの執念と気持ちの強さには完敗としかいいようがありません。
次はそこだけは負けないようにしたいですよね。
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