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パリ暴動、嫌な奴は結果を出すしかない

11月(2018年)から続いているフランスの反マクロン大統領デモは、その映像を見る限り、もはや暴動としかいえませんが、現地メディアの調査によると国民の70%がこのデモを支持しているのに対し、マクロン大統領への支持が20%台だというのですから、”革命”に発展するんじゃないかと思うくらいです。

このデモではすでに100人以上の怪我人と数人の死者が出ているだけではなく、凱旋門とその内部の美術館が壊されるなどしたせいで、パリ市民の生活や経済活動はもちろん、観光産業にも大きなダメージを及ぼしているそうです。
日本のテレビニュースではこのデモの理由について、「燃料税の引き上げに抗議している」と説明していますけど、そんなことくらいでこんなに大暴れするのかと、多くの視聴者は不思議に思うはずです。
もちろん、燃料税引き上げはきっかけにすぎず、その背景というものが存在するわけです。
日本のメディアがそこを詳しく報じないのは、面倒くさいからなのか、それともそれを国民に教えてしまうとなにか厄介なことになると思っているのか…。

まあ、どちらかはわかりませんが、今回フランスで起きている衝突というのは、これまでのツケが溜まったものであることは間違いありません。
今回の背景にあるのは大きくいって3つあると思うんです。
それは①高失業率、②終身雇用制度改革による雇用の不安定化、③社会保障負担増です。

①に関していうとフランスは10年以上前から失業率が10%ほどもあって、しかも若者に限ると20%を超えるという異常な状態なんです(マクロン政権でやや改善の兆し)。
今回のデモでも暴徒たちは顔を布で隠していますけど、暴れっぷりからするに多くが若者だと思います。
これは②とも関係ありますけど、フランスは終身雇用が原則の上に労働者の権利も強いので、一度雇っちゃうと解雇しづらく、雇用主としては雇うのを躊躇しちゃうそうです。
そのためにマクロン大統領は労働市場を流動化させる政策を取っているものの、その成果はすぐに出るものではなく、雇用の不安定化だけがクローズアップされて不満が高まっているというわけです。

また、フランスの若年層には貧しい移民2世3世が多く、そういうひとたちは言語や教育の面で不利となり、就職先が少なくなってしまうという現状もあるようです。
しかも、収入のない若者は犯罪に走りやすいということもあって、治安悪化の原因にもなっているのですから、為政者としては頭の痛いところでしょう。
移民問題は〈EUの基本理念〉とやらいうやつの弊害に他なりませんが、一度受け入れてしまったものはどうしようもないので、マクロンは未来のために移民規制法案を成立させましたが、それが左派の不興を買って、支持率を落とす一因になってしまっているのですから少し同情します。

③に関していうと、フランスは”個人主義の国”であるといいながら、その個人を守るために、国がその個人の多くを養う、いわゆる”大きな政府”を続けてきたために、日本もびっくりするくらいの借金漬けです。
このままじゃヤバすぎるのでマクロン政権では社会保障費の負担増を決めると、これがまた国民から猛反発を食らいました。
素晴らしい個人主義ですね。

私が見る限り、マクロン大統領の政策というのは概ね正しい方向に進んでいると思います。
”経済通”といわれるその手腕によって、フランスの経済動向もマクロンが大統領になってからは(17年5月)ずっといい数字が並んでいますしね。
ただ、そのいい数字を出すために、法人税減税や金融商品利益減税など、わかりやすい”富裕層優遇”をしているために、一般庶民からは蛇蝎のように嫌われてしまっているのもまた事実です(逆に企業経営者からの支持率は60%ほど)。
オランド前大統領が作った富裕税も廃止しちゃいましたしね。

お金持ちに牽引してもらわなきゃ経済は上向かないんでしょうけど、もうちょっと上手いやり方があったかもしれません。
”階層の固定化”を狙っているようにも見えるので、国民の70%がデモを支持しているのでしょう。
また、マクロン大統領というひとは、「右でも左でもない」という実務型を標榜していますけど、その語録なんかを見ていると、人情の機微がわからない機械型なのかもしれません。

富裕層の味方なのか、嫌われ者の改革者なのか、歴史はどう審判を下すのでしょうねえ。
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