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2018全日本フィギュア・男子SP、新たな昌磨と復活の高橋

羽生結弦の欠場によって優勝争いへの興味は失われた今年2018年の全日本フィギュア。
そのせいかファンやメディアの注目は復活した高橋大輔に集まっているといっていいでしょう。
西日本を制したことによって、”世界選手権の可能性”も浮上してきた高橋がこの大会の波乱の中心になるのか、それとも友野一希くんと田中刑事くんが実質1つしかない代表枠を死守するのか、思いがけない世代間抗争の勃発を我々はやきもきしながら眺めようではありませんか。
というわけで、まずは男子SPをテレビ観戦した感想をざっくばらんに。

隔絶した実力差を背景に優勝確実といっていいディフェンディングチャンピオン宇野昌磨でしたが、6分間練習で右足を気にしてジャンプを跳ばないなど、予想屋がいたら泡を吹いて倒れそう。
しかも滑走順は一番。バックヤードで治療することも叶いません。
そうして観客と視聴者を不安でいっぱいにさせながらスタートした宇野昌磨、まずは万全でも難しい4F!
「怪我なんて嘘だろ!」という具合にばっちり決めた!
コンビネーションは4Tの着氷がやや開いたので+2Tに。いい判断。
観客が息を呑むようにして見守るなかの3Aもよし!
この日の宇野くんは怪我のせいか動きの精密さはいつもより欠けていましたが(ステップはちょっとおかしかったですね)、それを問題にしない気迫がありました。
フィニッシュ時の大きく右腕を振るガッツポーズも珍しかったですし、目をカッと見開いてアドレナリンが爆発したような表情も見たことがありませんでした。
今シーズンの宇野くんは次世代エースとしての「自覚」を強調し、プレッシャーのなかでいかに結果を出すかを語ってきました。
宇野くんは”シルバーコレクター”などという不名誉な渾名をつけられ、我々ファンももどかしい思いをしていますが、本人はその数十倍も忸怩たる思いがあるはずです。
日本のエースといえば、高橋大輔が日本人初の五輪メダル、初の世界王者、初のGPF制覇を果たすなど、ここぞというときにみんなの期待に応える活躍をしたものです。
そして羽生結弦は”日本のエース”の価値をさらに膨らませるように五輪連覇という偉業を成し遂げました。
宇野昌磨も次世代エースならば、ここぞというときにやってやらねばなりません。
まずはこの全日本です。
その思いがクールな仮面を剥ぎ取り、気迫の塊のような『天国への階段』に繋がったのだと思います。生身の宇野昌磨を初めて見たような気がします。
この気迫があれば国際舞台でもさらに輝くことができる。この新たな昌磨、νショーマをどこまでも貫いていって欲しい。
SPは102.06(TES56.81・PCS45.25)。

刑事刑事くんは冒頭4Sで転倒。
3F+3Tと3Aは成功させ、ステップでは氷に吸い付くようなスケーティングを見せるもSPは79.32(41.13・39.19・減点1)。
ジャンプが終わるまで動きがガチガチでしたね。
日本では先輩に勝つことを”恩返し”といいますが、このままでは”恩知らず”になってしまいますぜ。
FSでは気合を入れ直して!

日本の選手たちは「全日本が一番緊張する」と口を揃えますが、それは観ている観客の緊張感が伝染するせいでしょう。
全日本はその後の国際大会への予選だということもありますし、トップ選手以外はここが引退の花道になることも多いですから、観客もいつもより気持ちが入ってしまうので、なんともいえない雰囲気になるというわけです。
しかし、そういう全日本だからこそ、いい演技をしたときの会場の盛り上がりは言語に絶するものがあります。
狂乱といってもいい。
そしてそれを最も我々に届けてくれた選手といえば、男子では高橋大輔を置いて他にありません。
”高橋大輔が全日本のリンクに立っている”。
そのことだけで胸が熱くなる。

今年の7月、高橋が現役復帰を発表したとき、私は楽しみ半分不安半分…、いや楽しみ3割不安7割くらいだったでしょう。
4年のブランクと32歳という年齢は、希望を抱くには重すぎる。
フィギュアスケートの体現者としての高橋大輔の栄光の記憶が損なわれることだけは避けて欲しい、それが私の偽らざる本音でした。
そのため、私はこの全日本まで極力、高橋の演技の映像や情報に触れないようにしてきました。
復帰の際、高橋は「全日本を目標にする」といいました。
つまり、全日本までに自分が納得できる演技に仕上げてくるということです。
ならば、それまでは観ない。そう決めたわけです。
もちろんテレビニュースなどで突発的に目に触れてしまいますし、西日本などの結果だって耳に入ってきますから、完全シャットアウトは出来ません。
内転筋の怪我などもありましたから、私もやきもきしていましたし、正直いって入ってくる情報のおかげで、ずいぶん気持ちは楽になりました。

しかし、いざ高橋のSPとなるとやっぱり平常心ではいられない、祈るしかない。
そして開幕の3Aを無事着氷(フリーレッグがすぐにタッチ)したときの喜びといったらない!
水を打ったように静かだった会場も爆発したようになる!みんなの気持ちはひとつ!
3F+3Tは綺麗に入り、レベル確保が心配だったスピンもキャメルはまずまず、後半の3Lzもステップから丁寧に着氷。心底ほっとしたああ。
そこからは高橋も解放されたようになって、シットスピンを挟んでのステップでは『The Sheltering Sky』の高鳴るピアノを繊細に汲み取り、全身で奏でるかのよう。
その姿はケレンミがなく、どこまでも自然体。
もともとそういうところのあった選手ですが、ブランクを置いたことでさらに純粋性が増した印象です。一切の無駄をそぎ落とした名人の領域といってもいいでしょう。
純粋になればなるほど音楽と溶け合う、そして観客の思いとも溶け合う、それこそが高橋大輔の世界です。
本当に素晴らしいSPでした。
2分50秒のすべてが芸術でした。
やはり凄い男だ。
高橋大輔はフィギュアスケートそのものです。

SPのスコアは88.52(43.38・45.14)。
思ったより高く出ましたけど、ジャッジも心を揺さぶられてしまったのでしょう。
見たところ、スピンはやはり苦しんでいましたし、ステップでもかつてのようなフットワークの質と量は足りていないといっていいでしょう。まあ仕方のない現実です。
ただ、ジャンプのメカニックはかつてよりも向上しているような気がするんです。
まだまだ踏み切りに力強さは足りませんが、膝を柔らかく使っていて、以前より全体がスムースになっている印象です。
スポーツ選手は引退した後に気がつくことが多いなんていいますけど、髙橋もなにかコツみたいなものを掴んだのかもしれませんね。
このSPの結果、表彰台も現実的に見えてきましたし、年を越してからの国際舞台への期待も膨らんできました。
楽しみ10割!

友野一希くんは冒頭の4S突っ伏すような転倒、回転も足りていません。
3F+3Tも強引な感じ、3Aもヒヤヒヤ。苦手のスピンでも目に見えるミス。
気持ちの籠ったスケートでなんとか演技を盛り上げましたけど、スコアは73.09(36.33・37.76・減点1)。
世界選手権は羽生結弦と宇野昌磨はすでに基準をクリアしているので実質残り1枠。
四大陸はおそらく羽生結弦は出ないでしょうから、実質2枠と考えれば、表彰台には立っておきたいところですが、暗雲が垂れ込めてきましたね…。

最後に、この全日本選手権は日本一や日本代表を決める大会であると同時に、そこに及ばない大勢の選手たちがここを一世一代の晴れの舞台として挑んでいることを忘れずにいたいと思います。
その選手たちの情熱の迸りこそが全日本のもうひとつの価値であり、日本フィギュアのレベルを支える礎でもあるわけです。
このSPでは鈴木潤くんの『月の光』などは情熱の炎が昇華した果ての透き通ったような演技でした。
努力や工夫の道のりが見えてくるような演技には、スコアを超えた魅力があります。
全日本はフィギュスケートを鑑賞する喜びに満ちています。
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