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2018全日本フィギュア・女子FS(前)、超ハイレベルな戦いと水を差すジャッジ

SPをまさかの2ミスに終えた紀平梨花と首位宮原知子の差は”8.01”。
普通ならば優勝は絶望といっていい差ですが、今季のFSのベストスコアでいうと、紀平さん154.72、宮原さん145.85なので、数字上は十分可能。
それだけ3Aを2本入れた紀平さんのFSが凄まじいということです。
しかしその3Aは得点源である反面、ミスをすれば大きな減点を招きかねない諸刃の剣。
全日本という極限の緊張状態のなかで、紀平梨花がそれをどう乗り越えるのか、平成最後(2018年)の女王が決まる大一番の始まりです。

その運命の最終グループを前に、なみはやドームを沸かしたのは細田采花さん。
2年前に同門の紀平さんから3Aの練習に誘われ、それを修得したことで現役続行を決めた細田さんは23歳(91年3月生まれ)の今季、近畿選手権と西日本で見事にそれを成功させ、全日本でもひとつの注目の的。
SPで3Aを決めて10位という高順位でFSに進出すると、冒頭から3A+2T、3Aと立て続けに成功させて会心のフリープログラム。
ミスらしいところは3Lzが詰まった(回転不足UR)ところくらいでしたし、高い集中力を維持した本当に素晴らしい内容でした。
FSは124.33(TES71.29・PCS53.04)、合計185.74で8位まで躍進!
キスクラでは嬉し涙とともに笑顔が弾けていました。本当におめでとう!
細田さんはこれまで目立った実績のない選手ですが、それが3A修得によって、喝采を浴びることができるようになったわけですから、これはまさにロマンです。
来季も全日本の人気者になるのは間違いありませんし、国際大会には出るんでしょうか?夢が膨らみますね!

そんな姉弟子の歓喜に勇気をもらったのか、最終Gの先陣を切った紀平梨花も冒頭から3A+3T、3Aと見事な成功!パワフルでしたねえ。
続くステップからの3Loはやや空中でバランスを崩すも着氷はまとめる運動能力の高さ、スピンも切れ味抜群。
ステップでは体幹の強さを生かした反転力で身体が大胆に踊り、音楽表現の部分でも前の試合よりまた少しよくなってきました。この進歩のスピードも紀平梨花ならでは。
中盤の3Lz+2Tをしっかり決め、後半ボーナスパートに入ってのダブルタノ3Fはばっちり、ピンとしたビールマンスピンは惚れ惚れする回転速度。
そして3連続(+2T+2Lo予定)の場面では3Lzでややバランスが崩れると咄嗟に+1Eu+2Sにする対応力とクレバーさ、これには痺れた。古いひとなら”コンピューター付きブルドーザー”とか呼びそう。
終盤もシットスピンからコレオスパイラルでまったく勢いが落ちず、まさに『A Beautiful Storm』が猛威を振るったまま最後の3Sも爽快に決めると、嵐が巻き静まるような美しい舞い納め。ブラヴォ!
優勝の重圧なかでのこの圧倒的な内容に、もはや言葉はありません。
私には彼女の頭上に王冠が見えました。
技術的なところでは、この日はいつもよりジャンプのバランスが崩れていたと思うんですけど、それでもミスをせず次々と決めていったのですから、その修正能力・制御能力には脱帽です。
この能力はメンタルの持ってゆき方にも共通しているのかもしれませんが、本当に勝負強い。
もうひれ伏すしかありませんね。
FSは155.01(82.95・72.06)、合計223.76!キタキター!
これは優勝に小指がかかったといっていいスコア。
数字でいうと、他の選手はベストでもちょっと難しいので、ベストを超える演技が必要になります。
しかも先頭でこれですから後の選手はプレッシャーもかかります。他選手にとって紀平梨花は恐ろしい暴風雨だ。
我々ファンにとっては心を天に巻き上げてくれる美しい嵐ですけどね!

怪我を抱えながらSPでは4位と扮bなった樋口新葉さんですが、FSではジャンプに苦しみ、基軸のルッツが2本ともミスになるなど四苦八苦の内容。スコアも125.00(59.78・66.22・減点1)、合計197.63までしか伸びませんでした。
今季はここまでかもしれませんが、コンディションを整えて元気な姿を見せて欲しいですね。

樋口さんが散り、3強のを崩せるのはもう三原舞依さんしかいない。
SPは2位の坂本さんとは3点弱差の3位でしたから、ここはノーミスの演技で後続にプレッシャーをかけたいところ。
可憐なマイムから始まった『ガブリエルのオーボエ』、天に願いを届かせるためにも重要な冒頭3Lz+3Tは綺麗に入った!
カウンターからの2Aもよし、3Loは降りに繋ぎを入れてそのまま流れのあるスピン。上々の前半戦です。
中盤の3Fを美しく仕上げ、後半はジャッジ前を長し目で横切って、勝負の2A+3Tもばっちり!
シットスピンを挟み、振り付けを入れてからの3Lz+2T+2Loもしっかり揃え、片足ステップから3Sをビシッと決めると大きな笑顔!
ここまでの素晴らしい内容に会場も大いに沸き上がり、手拍子の渦なかを滑るステップシークエンスは歓喜の舞。
結びのコンビネーションスピンも一糸乱れず回り切って、大きなガッツポーズでフィニッシュ!
ノーミスというよりパーフェクトに近い演技!
もちろんなみはやドームのお客さんは総スタンディングオベーション。
”これぞ全日本”という素晴らしい雰囲気がテレビを通しても伝わってきました。
三原さんがシンデレラになった!
FSは147.92(78.15・69.77)、合計220.80。
この緊張の場面で、ジャンプをびびらず跳び、全体的には落ち着いて自分の演技を貫きましたね。
ひとつの殻を破ることが出来たと思います。これからもっともっと伸びてゆくと思います。
世界選手権の可能性も見えてきた…。

紀平さんと三原さんの物凄いパフォーマンスによってボルテージが最高潮に達するなか、女王・宮原知子はその座を守ることができるのか。
まずは3Sをスパっと決め、課題の3Lz+3Tも力強い。ジャンプ改造の成果が生きています。
技巧的なスピンと得意の3Loでいい流れを確かなものにすると、ステップシークエンスでは完成された振り付けで音を拾い、アダルトでクールな『Invierno Porteno』。切れあがった背中の筋肉がカッコいい。まさに鋼の女王。
しかし、中盤の3Lzが回転不足気味に詰まってしまって嫌な感じ、2A+3Tを決めて盛り返すも、コレオのあとのコンビネーションがまさかの2Fに。
続く2A+2T+2Loでなんとかリカバリーし、完璧なビールマンで演技を締めくくるも、後半崩れた印象はぬぐえませんでした。
コレオもやや勢いに欠けていましたし。ルッツのミスを引きずっちゃったかな…。
5連覇の重圧に加え、若手からの突き上げのなか、ノーミスはやはり難しいですよね。
これで三原さんの上に行くのはちょっと難しいかなあ、と思っていたところ、出てきたスコアは146.58(71.49・75.09)、合計223.34。
ルッツのURが取られていないみたいですし、他の部分の評価も私の想像以上でした。
スケートアメリカのノーミスのFSが145.85だったのですから、いくら採点の甘い全日本といえども、この得点はわけがわかりません。140点くらいじゃないでしょうか…。

私もそうでしたが、会場もやや混乱したような空気が漂っていたように感じられましたが、最終滑走の坂本花織はそれを気にしない平然とした表情でリンクイン。
思い返せば昨年も最終滑走で五輪への切符をもぎ取っただけに験のいい滑走順です。
実は私、数日前に坂本さんが初優勝する夢を見たんです。
ですから優勝予想は坂本さんだったんですけど、紀平さんが223.76を出したことで、坂本さんはFSのパーソナルベストを6点ほど更新せねばならなくなり、夢は現実的ではなくなりました。
それどころか、最低でもノーミスでないと三原さんにも勝てないはずなので、代表3枠からも漏れかねないという切羽詰まった状況。今年の全日本は観てるこっちもおかしくなりそうほどハイレベルです。
それでも坂本さんは落ち着いた様子で代名詞のマイムでスタートし、大きく加速してからの3F+3T!
いつもより軸はぼやけていましたけど、でっかく決めるのはさすが!
カウンターからの2Aもよし、エッジに難を抱える3Lzもややふらりとしながらも着氷、どっしりしたシットスピンで上々の前半戦。
ステップでは丁寧かつ大胆な動きと、深く力強いスケートで『ピアノ・レッスン』の女の情念をみなぎらせ、その流れからの3Sもお見事!
ピアノの高鳴りとともに突入した後半パートでも、気合の2A+3T+2TはGPFのリベンジ、大らかに滑っての3F+2もばっちり、メカニックの確かなコンビネーションスピン、コレオのスパイラルもたくましい下半身で弩のつく安定感、そしてターンからの3Loは終盤とは思えぬ迫力!
結びのビールマンもゾーンに入ったように仕上げた坂本さんは緊張から解き放たれたようなガッツポーズ!
最後まで集中が揺るがぬ素晴らしい演技、一瞬たりとも目が離せない演技した。ブラヴォ!
今季課題としている繊細さという部分でも大きな進歩を見せていましたね。
最終滑走の重圧に見事打ち勝ち、自分のスケートを完遂させた坂本さんは、たとえスコアで負けたとしても、十分女王の資格があったと思います。
私は彼女を心から称えたい。
そうして出てきたスコアは152.36(79.11・73.25)、合計228.01。
キスクラの坂本さんもびっくりして目を瞬かせていましたけど、私も二度見三度見してしまいました。
紀平さんを上回っての優勝という結果というわけですけど、どこをどうしたら、こんなスコアが出るのかまったく意味がわかりません。
今季の坂本さんはこのFSと同じくらいの出来のスケートアメリカで142.61だったんです。
どうしたらそれが10点近くも上がるのか、本当に不思議。
試合後に坂本さん本人が「計算ミスかと思った」と漏らしていましたけど、それこそが正しい見解ではないでしょうか。
坂本さんのこういう正直なところ大好き。
(色んな憶測も含め、後編に続きます。)
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