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2018全日本フィギュア・男子FS(前)、スターには演出力が必要

誰が優勝するかわからない大接戦だった女子に比べ、男子はSPが終わってほぼ趨勢が見えてきたといっていい状況。足首に明らかな怪我を抱えているといっても宇野昌磨が逃げ切るに違いありません。
しかし2位争いはまだまだ予断を許さず、勝敗ラインはトータル245~50くらいが想定されるなか、そこに到達しそうなのは高橋大輔、島田高志郎、田中刑事、友野一希の4人。
SPのリードがあるので高橋が有利なのでしょうけど、久々の全日本のFSを平常心で滑り切ることが出来るのかどうか。4Tに挑むこともプラス材料というより懸念材料といっていいでしょう。
それに対し、今季なかなか調子の上がらない刑事くんと友野くんはかなり開き直った演技をする必要があるでしょう。バリバリの現役なのですから高橋に負けてはいられない。
高志郎くんはジュニアGPF銅メダルで世界ジュニア派遣は内定状態ということもあって、思い切って来ると思うので台風の目になるかもしれませんね。
というわけで、髙橋の復帰によって、日本男子の過去・現在・未来が見渡せるようになった2018全日本フィギュア・男子FSを振り返ってみたいと思います。

逆転表彰台で2年連続の世界フィギュア進出を果たしたい友野一希くんはというと、前半の4S転倒と後半の3Aステップアウトという大事なところのミスが出て、FSは154.37(TES78.23・PCS77.14・減点1)、合計227.46。
今季はGPSで初表彰台には立ちましたけど、やはりジャンプが安定しません。
昨季の”世界選手権5位”が重荷になっているのでしょうか、気負いすぎなような気がします。
持ち味の”攻めの演技”を取り戻して欲しいですね。

友野くんの失速によってチャンスが広がったはずの田中刑事くんは冒頭4S+2Sを決めて好スタートを切ったかに思われた矢先の4S予定が2Sに。
後半の3連続も頭の3Aがお手つきになっての+2T+2Tという友野くんと似たようなミスの展開。
しかも焦ったのか3F+2Tはザヤックに抵触。
演技全体にも落ち着きが足りない印象で、今回が記念すべき10度目の全日本だったというのにまたしても初心な自分をさらけ出してしまいました。
FSは157.13(76.47・80.66)、合計236.45。
成功したジャンプにいつもより加点が付いたので、思った以上にスコアが伸びましたね。3位ならあるかも。四大陸が見えてきた。

フォームアップでジャンプを跳ばなかった宇野昌磨は本番でも詰まり気味の4F、3Sオーバー、4Tステップアウトという不安でいっぱいの立ち上がり。
怪我は相当重いのか…。
そんなふうに誰もが大崩れを予想するなか、スピンやコレオでは気合十分で足も気にする様子もなく、中盤の鬼門である4T+2Tも決めた!
ボーナスパートでも3A、3A+1Eu+3F、3Lo(コンボにはせず)と連続成功!
本当に怪我なのか!?
ステップではやや振り付けをシンプルにしたかに見えたものの、フットワークは一切乱れず、エネルギー満々の『月光』。
締めのコンビネーションスピンも明確そのもので、心配したのが馬鹿らしくなるほど。
なんだかあっけに取られました。
宇野くん本人も納得したような、やり切ったような表情のFSは187.04(97.17・89.92)、合計289.10。
結局、今季のベスト(188.38)に近いスコア。
なんだか騙された気分ですけど、競技後の宇野くんによると「SPの朝の公式練習で右足首を捻挫した。全治2週間くらいだと思う」とのこと。
SPのときはものすごく右足を気にしていましたし、「いわけしたくないから詳しいことはいいたくない」とかもったいぶっていた割には大したことないような…。
これには立腹したひともいるかもしれませんが、私は宇野くんの変化と成長を感じて嬉しくなりました。
これは要するに怪我を”盛って”、自己演出したわけですよね。
こういう演出力はフィギュアスケートにはとっても大切だと思うんです。リンクのなかでも外でも。
宇野くんにもようやく”スター”の自覚が芽生えたということです。
これからの宇野くんはいい意味でなにをするかわかりませんね。
羽生結弦に一歩近づいた!

ただ、怪我が本当に酷いときは無理せず休んで欲しいものです。
スケート連盟は嫌がるかもしれませんが、ファンはその判断に賛成するはずです。
宇野くんは日本の宝なのですから、長く現役を続けてもらわねばなりません。
そこも羽生結弦を見習って!

刑事くんがスコアを伸ばせず、宇野くんがハイスコアを出したために、高橋大輔の2位は濃厚という雰囲気。
しかし髙橋はそれを守りにゆくのではなく、攻めの4T挑戦!…でしたけど、冒頭は抜けた3Tに。
練習では綺麗に跳べていましたけど、やはり本番は難しい。
次の3A+2Tは落ち着いて決めたものの(ザヤックの可能性を考慮して+3Tにはせず)、絶対の自信を持っているはずの3Fの着氷が乱れ、バタついた序盤戦。
それでもシットスピンは安定していましたし、『鐘』をアレンジしたジョン・グラントの『Pale Green Ghosts』に乗せたステップシークエンスのめちゃくちゃカッコいいこと。
振付師のブノワ・リショーは前衛的なセンスで評価が上昇中の30歳ですが、このリショーと高橋の相性は抜群ですね。
他選手と一線を画す、”お金が取れるフィギュアスケート”という感じでがしました。
ステップのあとの3Aもフリーレッグで巧みに捌き、いい流れでいざ勝負の後半戦といきたいところでしたけど、3Lz+1Eu+3Sはバランスを崩しての転倒、次も焦ったようになった2Loで苦笑い、3Fはステップアウトでコンボならず。
キャメルスピンも緩んでしまって、やはり全日本は難しい。
ただ、これで終わらないのが千両役者・高橋大輔の真骨頂。
フィギュアの常識を超える規格外のコレオで我々の感性を揺さぶり、しかも終盤に入ってのスケーティングがどんどんと加速していって、興奮が爆発する!
本当になんちゅうもんを見せてくれるんや…。
やっぱり全日本は高橋大輔の舞台だわ。
最後のスピンでふらりとしたのはご愛嬌。
これも演出力!

髙橋のフィギュアスケートには楽焼に似た魅力があります。
いわゆる”不完全の美”です。
この不完全の美というのは”受け手のなか”で完成するものですが、それは人間もまた不完全な存在だからこそ感じられる美しさなのかもしれません。
ちなみに我々日本人は”一楽二萩三唐津”といって楽焼をずっと愛してきましたが、いまでは海外でも”RAKU”として人気があります。

そのように大いに楽しませてもらった高橋のFSですが、ミスが相次いだためスコアは151.10(63.60・88.50・減点1)、合計239.62。
刑事くんには届かないかと思いましたけど、GOEが割と評価されたこともあって、ちょっとだけ上回っての暫定2位。
世界選手権代表が現実味を帯びてきました。
(ジュニアの活躍と代表発表の後編に続きます。)
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