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メイウェザー×那須川天心、男としての価値は守った

フロイド・メイウェザー・ジュニアといえば、50戦無敗の5階級制覇という現実離れした戦績を持つ伝説的なボクサーとしてよく知られ、本人が”The Best Ever”と称するように、”史上最高”と評価されることもある真の世界的スターです。
そんな選手が日本で試合をする。
格闘団体〈RIZIN〉が「大晦日に日本でメイウェザーと那須川天心の試合を行う」とぶち上げたのは昨年(2018年)の11月ですが、その成立を疑ったひとは多かったはずです。
メイウェザーといえば、試合運びがそうであるように”リスク管理の徹底”を信条に、契約条件にとことんまでこだわり、可能な限り自分に有利(ルールもギャラも)になるまで試合を受けない選手としてもよく知られています。
わずか2ヶ月で、その条件交渉がまとまるとは思えなかったわけです。

しかし、RIZINと那須川選手はメイウェザーという名の大魚を逃すものかと、メイウェザー側の要求のほとんどを呑む形で、なんとか契約を成立させました。
那須川選手はキックボクサーであり、体重もナチュラルで10キロは軽いというのに、初めての”ボクシングルール”。
しかも公式戦ではなくエキシビションという形です。
互いに公式戦では”無敗”なので、たとえ敗れてもその経歴に傷はつかないということになります。
RIZINと那須川選手にしたら、世界最高のボクサーと戦って、グラつかせでもしたら自分たちの価値を世界的にも高めることがきるという計算があったのでしょうけど、驚くほど下手に出たものです。

この”エキシビション”を提案したのはメイウェザー側ということで、日本の一部では「メイウェザーは那須川に負けるのを恐れている」という観測も持たれました。
世界最高のボクサーといっても、それはあくまで現役時代のことであって、メイウェザーは現在引退状態の41歳(77年2月生まれ)であり、最後の公式戦は去年の8月でしたから、那須川にチャンスがあると考えるひともいたわけです。
もちろんそれは勝利ではなく、見せ場を作れるくらいの意味だったでしょうけど、那須川選手は専門家から「世界ランカークラスのボクシングテクニックがある」と評価されていましたし、期待が膨らむのも当然です。

そうして大晦日が近づいてきたものの、「細かい条件が合意していない」との報道があり、ドタキャンもあり得るという状況のなか、メイウェザーがプライベートジェットでアメリカからやってきたのは12月29日の夜。
試合は31日ですぜ。
普通、外国人ボクサーが日本で試合をするとなれば、10日ほど前に来日し、どこかのジムを貸し切って最終調整に臨むものです。
それがいくらエキシビションとはいえ、試合の前々日というのはあまりにもめちゃくちゃです。
時差の問題だってあるんですよ。

30日には前日計量に出席し、それをパスしたメイウェザーでしたが、その日も練習している様子はまったくありませんでした。
翌日の大晦日も試合を夜に控えているというのに、取り巻きを引き連れて銀座でお買い物をしたり、焼肉を食べたり、富士山を観に行きたいと駄々をこねるだけで、ランニングすらしていないというのはどういうつもりだったのか。
RIZIN側は本気でドタキャンを疑ったようですけど、それも無理はありませんよ。

そして大会のオープニングを当然ように欠席したメイウェザーは、会場入り予定の20時が過ぎても到着せず、関係者を死ぬほどやきもきさせたものの、そこから遅れること1時間半、ようやくさいたまスーパーアリーナに姿を現します。
これで試合は確定したといっていいえしょう。
ただ、試合までの1時間半、メイウェザーは取り巻きたちと悠々と過ごすだけで、ミット打ちどころかウォームアップすら行わないんです。
身体もちょっとたるんでいましたし、いくらなんでも舐めすぎでしょう。
テレビを観ていた世界中のひとが「天心、一泡吹かせてやれ!」と応援したはずです。

ちなみに試合はボクシングルールでの3分3Rのエキシビション、体重差があるのでグローブはメイウェザーが10オンス、那須川選手が8オンス。ここはけっこう有利です。
ただ、”キック1発5億円”の罰金が設定されていて、ルール破りの奇襲攻撃はほぼ不可能。
メイウェザーにしたら日本は完全アウェイですから、”なにをされるかわからない”という恐怖もあったでしょうけど、これで気持ちも楽になったはずです。

このようにすったもんだを乗り越えて、いよいよ両者リングイン。
両国国家が流れ、エキシビションとは思えぬ緊張感のなか始まった試合でしたが、メイウェザーだけがニタニタとした笑顔。
わざと空振りパンチを見せるなど、明らかにお遊び気分。
これに対し、20歳の那須川選手は真剣そのものの表情でジャブを放ちながら距離を測り、いきなりの左ストレートがメイウェザーの顔面をかすめる!会場がドッと沸いた!

しかし、この”倒しにきたパンチ”を見たメイウェザーの構えが一転して戦闘モードに。
ガードを固めながら圧力をかけ、強烈なボディで那須川の動きを止めると同時に意識を下にやると、左のパンチを那須川のこめかみと顔面に的確に当て、立て続けに3度のダウン。
那須川選手は足元フラフラ、目もイッちゃって、セコンドからタオルが投入されると、悔し涙とともに試合終了のゴング。
世紀の一戦はわずか119秒で幕を閉じてしまいました。
会場はもちろん、世界中のひとがあっけに取られたと思います。
メイウェザーが強すぎる。
まさに大人と子供でした。
(メイウェザーにしたら、得体のしれないキックボクサー相手には早目のKOこそが一番のリスク管理だったのかもしれませんね。)

メイウェザーは昨年、総合格闘技の世界的強豪コナー・マクレガーと”ボクシングルール”で対戦し、10Rでの勝利を収めていますけど、異業種との戦いのコツを掴んでいる印象でした。
キックボクシングや総合の選手はフットワークをあまり使わないので(キックやタックルをするため)、ボディにパンチが当たりやすいとのことすでけど、それを実践し、ガードが下がったところを上のパンチで仕留めたのはまさに計算通りなのでしょう。
しかも那須川選手は体重が10キロほども少ないので、ガードを固めて前に出るだけで動きを限定することができます。
勝ち目なんて万が一にもなかったんですね…。

もし、那須川選手が勝てる可能性をわずかでも作ろうとするならば、やはり”キック”だったと思います。
もちろん罰金があるので本当には蹴れませんけど、蹴るモーションに入っただけでもメイウェザーは警戒したに違いありません。
マクレガーも反則スレスレの鉄槌パンチや抱き付きで苦しめていましたしね。
そういうのをマリーシアというのでしょう。
ただ、那須川選手がそれを使わずに、あくまでボクシングルールで愚直に挑んでいったのは、若者らしい清々しさがありました。
メイウェザーが試合後に「天心は若いライオンだ。これからもっと成長するだろう。今回はエキシビションなのだから彼はまだ無敗のチャンピオンのままだ」と珍しく対戦相手を褒め称えたのも、那須川選手が汚いことをしなかったせいでしょう。
(2分で900万ドルを稼いで上機嫌だったとも。)

この試合で那須川天心は選手としての価値は下げてしまったかもしれませんが、人間としての、男としての価値は守り通しました。
ただ、あまりにも危ないので、もうこういう体重差のある試合は観たくありません。
きちんとした階級のなかで、自分の価値を取り戻す試合をして欲しいものです。
今回はダンスのような試合にならず、圧倒的に叩きのめされたことで、ある意味世界でも有名になったので、おもしろいマッチメイクもできるようになるんじゃないでしょうか!
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