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池袋事故と憲法

この4月19日(2019年)、東京・池袋で乗用車が暴走し、通行人を次々とはねていった事故は、6人の重軽傷者と、幼いお子さんとお母さん2人の死者を出す大惨事となってしまいました。
運転していた”87歳”の男性は事故直後「アクセルが戻らなくなった」と説明していたそうですが、警察の調べでは車体に不備は見られず、150mに渡ってハンドル操作もなく、ブレーキを踏むことなく加速し続けていったことから、”運転者に問題があった”というのがいまのところの見立てのようです。
いわゆる高齢ドラーバーによる事故で、「またか」いう声が巷から聞こえてきそうですよね。
免許返納など、”防ぐことのできた事故”と考えると、本当にやるせない思いがします。

そして、その事故から一日空いた昨日21日、今度は神戸市のJR三ノ宮駅前で、市営バスが暴走する事故が起こりました。
この事故も6人が重軽傷、若い男女2名が亡くなり、64歳の運転手が「発進作業のためブレーキを踏んでいたが急発進した」と説明しているものの、屋外の映像やドライブレコーダーの社内映像ではブレーキを踏んでいる様子もハンドルを切っている様子もなく、”運転手の問題”と思われます。
いまのところバスには不具合は見つかっておらず、同型のものになんのトラブルもないようですから、運転手の操作ミス(アクセルとブレーキの踏み間違え)や体調が疑われます。
運転手は高齢というほどの年齢ではありませんが、糖尿病や腎臓病の治療をしていたいいますし、そのあたりに原因があるのかもしれません。
神戸市は「朝の出庫の際に健康状態をチェックしている」と説明したいましたが、それが適切に行われていたかどうかも確認の必要があるでしょう。
こちらの事故も”防げたのではないか”という思いが沸いてきます。

このように2つの事故はとてもよく似ています。
罪状も両方とも自動車運転処罰法違反です。
しかし、大きく異なることがありました。
三宮のバス運転手はすぐに逮捕されたのに、池袋の87歳は逮捕されていないんです。
逮捕する・しないの判断基準としてよく耳にするのは、”悪質性・重大性””逃亡の可能性”と”証拠隠滅の可能性”ですが、自動車運転処罰法の場合、”お酒を呑んでいたか””正常な運転を困難にする薬物を摂取していたか””正常な運転に支障を来す疾患を認識していたか”というこで罪の重さがかなり変わるので、大きな事故が起きた場合、運転者の身柄を確保するのが一般的です。
池袋の犯人は事故で負傷したため入院しているそうですが、逮捕したあとで警察が病院に運べばよかったのではないでしょうか?

また、87歳という年齢だって、昨年5月には神奈川で”90歳”の女性が4人をはね、1人を死亡させた事故がありましたけど、すぐに逮捕されています。
この容疑者は軽傷を負っていたと報道されていますが、警察は身柄を確保したわけです。
高齢とはいえ、”悪質性・重大性”を重視したのでしょう。

こうして比べると池袋の犯人への扱いはかなりおかしな感じがします。
報道によればこの犯人・飯塚幸三は、旧通産省工業技術院の元院長であり、いくつかの天下り先の会長を経て、産業機械メーカー〈クボタ〉では常務取締役を務め、2015年には〈瑞宝重光章〉を授けられたとのことです。
そういう地位の高さが忖度に繋がったとすれば、これは法の下の平等に反することです。
犯人の負傷の程度も含め、警視庁は納得のゆく説明をすべきです。
”容疑者”を伴った実況見分や”容疑者”への取り調べも速やかに行わなければなりません。

それにしても、高齢ドラバーや疾患を抱えたドライバーの問題というのは本当に悩ましいものがあります。
運転はひとつの権利ですから、憲法(第13条)に照らしても、それは尊重されるべきなのでしょう。
免許の剥奪というのは相当な法的根拠が必要になります。
そうして制限が難しいとなれば、我々にできるのは自衛のみです。
”自動車は必ずしも交通ルールを守るわけではない。正常に運転されるわけではない”という意識で外に出なければなりません。
事故は平等にやってくるんです。

そういえば、”法の下の平等”が書かれた憲法第14条第3項には「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない」とも書かれていましたね…。
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