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天安門事件から30年

天安門事件と聞いて私が思い出すのは、1992年の1月に中国に短期留学した先輩の話です。
「観光で天安門広場に行ったけど、そういうことがあった名残りはまったくなかったし、そもそも自分も天安門事件のことをよく知らなかった」というのです。

天安門事件があったのは89年の6月4日ですが、これを受けて国際社会は虐殺を行った中国を強く非難し、G7や世界銀行が外交・経済面での制裁を加えました。
日本政府もODAを凍結し、企業にも取引をしないよう促し、西側諸国と歩調を合わせたのはもちろんです。
ところが、それはあくまでポーズで、ときの自民党政府は、心情的には中国に寄り添い続け、国際会議などの場でも、中国を擁護する姿勢を崩しませんでした。
そして翌90年8月には海部俊樹総理総理が中国を訪れ、円借款の再開に踏み切ると、92年には宮澤喜一内閣が”中国共産党政府(中共)からの招待”を受けて天皇陛下の中国訪問を閣議決定し、10月には平成天皇が天皇として初めて中国大陸に渡られることとなりました。

その際、平成天皇は「言論の自由は、民主主義社会の原則であります。この度の中国訪問のことに関しましては、種々の意見がありますが、(日本)政府は、そのようなことをも踏まえて、真剣に検討した結果、このように決定したと思います。私の立場は、
政府の決定に従って、その中で最善を尽くすことだと思います。」と述べられ、新憲法で定められた象徴天皇として、”自分の意志とは別の判断”であることを匂わせながらの訪中となりました。
中共と日本政府に”政治利用”されることを知りながらの苦渋の決断だったことでしょう。
 
いうまでもなく、中共は国際社会の批判を受けてもなお”民主化”を一切受け付けませんでした。
武力を背景にした共産党の一党独裁を堅持したわけです。
中国人民には自由も人権もないままでした。

しかし、自民党政府はそれを無視し、日中友好という名の我欲に満ちた儲け話に舵を切りました。
それまで投資し続けてきた中国市場からの蜜を逃してなるものかと、薄汚い舌を伸ばしにいったわけです。
天皇陛下訪中というセレモニーはそういう日本政府の強い意志の表れであり、西側諸国もなし崩し的にそれに続くこととなりました。
中国市場がそれだけ魅力的だったということもあるでしょう。

こうして、中共は”儲け”で国際社会を黙らせてきましたし、独裁批判に対しても「共産党のもと、国民は豊かになった」と強弁しています。
すべてが”お金”です。
これこそ中国共産党と中国人の本質といっていいでしょう。
いまの中国人は”情報統制”によって天安門事件のことを知らないひとも多いといいますが、知っていたとしても、「経済大国になったのだから共産党独裁で構わない」と本気で思っているようです。
こうなると統制ではなく、洗脳ですね。

昨日の6月4日(2019年)は天安門事件から30年ということで、日本のニュース番組の多くも特集を組んでこれを伝えていましたが、どれも”民主化を求めての学生運動とその武力弾圧”という紹介の仕方でした。
これは正しいといえば正しいのでしょうけど、当時学生たちが掲げていた「一党独裁打破」というスローガンを紹介しなかったのはなぜなのでしょう?
学生たちが命を振り絞って自由と民主主義を求めたのは、中国共産党が武力によって国を支配し、異なる意見や多様性を踏み潰していたからです。
選挙もなく、憲法に「中国共産党が中国の各民族人民を指導する」などと書いてある、非の打ち所のない独裁国家・全体主義国家に対して意見をいうのはデモしかなかったわけです。
それを視聴者に正しく伝えねば、天安門事件もなんのことだかよくわからなくなってしまいます。

日本のマスコミや有識者や野党(民主党系、共産党、社会党など)は、日頃から独裁や全体主義を強く非難し、なにかあると「戦前回帰だ!」とかいって叫んでいますけど、中国のこととなるとダンマリを決め込んでいます。
軍事費にしてもそうですね。中国が毎年のように軍備を増強させているのは見て見ぬふりで、日本が最新の戦闘機を買おうとすると「高すぎる!」とかいって目くじら立てているのですから、相対性という観点が完全に抜け落ちています。

ちなみに、上に書いた私の先輩が短期留学当時「天安門事件のことをよく知らなかった」のは、日本でそれがきちんと報道されていなかったせいです。
日本のマスコミの多くは中共政府の発表を鵜呑みにし、学生による過激なデモだったが虐殺などということはなかった、といって虚構の一翼を担っていたわけです。
いまではさすがにここまでベッタリではありませんが、中国共産党が独裁的な軍事政権であることと向き合おうとしないのですから、本質的にはあまり変わりはありません。

私の先輩は留学の思い出を語るとき、「恥ずかしい」という言葉を必ずそこに添えています。
同じ学生だったのに、中国の学生が必死になって自由と民主主義を求めていたことを知らなかったことを恥じているわけです。
正義や真実の側に立っていたいという感覚、これこそが日本人です。
当時の日本政府やマスコミにそれが少しでもあれば、中国はいまのようなモンスターになっていなかったように思います。
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