FC2ブログ

大坂なおみ、Aマッソへナイスリターン

私の知人にケンタッキーフライドチキンが「大好物」というひとがいるんですけど、そうはいっても足しげく通うわけではなく、数ヶ月に一度、無性に食べたくなって、ひとりで駆け込んで、チキンにむさぼりつくというわけです。
また、その知人はケンタッキー原理主義者とでもいいましょうか、骨付き肉以外、ナゲットやクリスピーやらは一切口にしません。
そのわけをたずねると、「まず骨が付いている方が絶対に美味い。それにこのカーネル・サンダースという白人のおっさんが世界中に広めた骨付きフライドチキンは、人類の歴史を変えた食べ物なんだ」と大げさなことをいうんです。
知人が教えてくれたのは、骨付きチキンがもともとアメリカ南部の黒人の使用人(いわゆる奴隷)の食べ物だということでした。
白人は骨のない部位、胸やお尻から腿のところを食べ(ナイフとフォークを使うため)、残り物が黒人に回され、鮮度の問題がありますから、スパイスなどを利かし、小骨を柔らかくするために油でじっくり揚げたわけです。
我々がいま食べてもわかるように、これが抜群に美味しくてハイカロリーなので、南部黒人のソウルフードとなったようです。

そして、いつしか南部白人層もこのチキンを食べるようになり、1930年代にケンタッキー州に住んでいたカーネルおじさんの独自のフライドチキンを考案し、50年代にはフランチャイズ化し、アメリカを代表する食べ物になったわけです。
60年代~70年代には世界進出もしたわけですが、マスコット人形にもなっているサンダースが白人なので、白人の食べ物という印象すらありますよね。

ちなみに、いくら人気になったとはいえ、アメリカの上流階級では骨付き肉を食べませんでした。
手で持ってむさぼりつくのは「下品」というわけです。
また、興味深いことに、黒人でも特別な才能などによって上流階級の仲間入りしたひとは、フライドチキンを手に取ることがなかったようです。
映画『グリーンブック』にも白人と黒人のあべこべを笑うようにしてフライドチキンが登場します。

そんな歴史を教えてくれた知人は、「”下”だったはずの骨付きチキンを、いまでは世界中がうまいうまいといって食べている。差別とはそういう下らないものだ」といっていました。
ひょっとすると彼はそれ自分にいい聞かすために、ときおりケンタッキーをおとずれるのかもしれません。

私が今回こんなことを書いたのは、先月9月9日がカーネル誕生祭だったというだけではなく、Aマッソとやらいう女性お笑いコンビが、大坂なおみさんの”肌の色”を下らない漫才にしていたからです。
彼女たちが使った「日焼け」と「漂白剤」といういじりは、ひととして決して許されないものです。
その価値観は日本のみならず、世界中が等しく持っているものです。
漫才のネタということは、ついポロリと出た言葉ではなく、2人で考え、繰り返し練習してきたものであることは疑いなく、その差別意識は彼女たちの根底にあるものです。
彼女たちの感覚は世界の良識からはみ出したものです。
ただ、悲しいことに、そういうネタを好むひとがいないわけではありませんから、Aマッソの2人はそういうお客さんを相手にアンダーグラウンドで活動したらいいと思います。
彼女たちが芸をする自由は誰も奪いません。

そういう自分に向けられた下らない差別に対し、大坂なおみさんは本当に立派でした。
どこからAマッソのことを聞いたのか、ツイッターで「Too sunburned” lol that’s wild. Little did they know, with Shiseido anessa perfect uv sunscreen I never get sunburned」といってユーモアいっぱいに返したんです。
大坂さんはいま資生堂の〈アネッサパーフェクトUV〉のイメージキャラクターを務めていますが、資生堂は彼女を終身名誉アンバサダーに任命すべきですね。

このナイスリターンは世界中から賞賛されましたが、かといって大坂さんがAマッソを許したわけではありませんし、我々日本社会としてもこれを放置してはなりません。
Aマッソとその所属するワタナベエンターテイメントは謝罪文を出しましたが、そこには「差別」という単語はどこにもなく、問題の本質から逃げているようでした。
これでは「真摯に受け止める」「意識向上」といったって、誰も信じません。

まずは向き合うところから始めたいですよね。
人気ブログランキングへ
スポンサーサイト



プロフィール

かつしき

Author:かつしき
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード