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概念を変えることは不正ではない

2018年から世界のマラソンシーンでピンク色の衝撃を与えてきたナイキの厚底シューズ〈ヴェイパーフライ〉シリーズですが、大迫傑がこれを履いて日本新記録を出したときも大きな話題になりましたし、今年2020年の箱根駅伝でも多くの選手がこれを選んで区間記録を連発したことで、日本でもすっかりお馴染みになりました。
昨年女子マラソンの世界記録が16年ぶりに更新されたり、男子では非公認レースで2時間を切るタイムが出たり、ナイキの厚底によって、マラソンシューズの概念が変わったといっていいでしょう。

その概念というのは、”軽さ”を追求してきたシューズの歴史にとらわれることなく、クッション性によって”足を守る”ことが選手にとってプラスなのではないか、ということです。
もともとこの厚底シューズは、土の道で育ったアフリカ勢が舗装路の硬さを嫌がっているのを知ったナイキが考案したものだそうです。
最計量シューズに比べて2割ほど重くなりますが、アフリカ勢はそれよりもクッション性を好み、その結果タイムも上がり、他の人種も追随したというわけです。

さらに、この厚底シューズはソールに特殊なカーボンプレートを使っているものの、それは稀少な素材でもないため、一般販売された製品も他のメーカーのそれに比べて”やや高い”くらいの価格帯に納まり、学生や市民ランナーの間にも瞬く間に広がりました。
その結果が今年の箱根駅伝です。

ただ、従来の記録が易々と更新されてゆくことから、一部では「不正ではないか」という声が囁かれていたのも事実です。
箱根駅伝でも解説者が記録更新の要因として、この厚底シューズのことを語らなかったのも、どこかに後ろめたさがあるのかもしれません。
しかし、世界陸連や日本陸連が掲げるシューズの規定では「選手に助力(反発力)を与えることなく、価格的にも機会的にもたやすく手に入るもの」(意訳)とされているだけですから、ナイキの厚底シューズは”適法”だと考えるのが妥当なはずです。

ところが、今日1月15日に海外メディアが報じたところによると、世界陸連はこの厚底シューズを禁止する方向で検討しているようなんです。
私はこれにはちょっと驚きました。どういう論理で禁止するのかわかりませんが、クッション性を反発力だと強弁するのでしょうか…?
もっとも、クッション性というのはどのシューズにもあるわけですから、規制するならば、きちんとした数字を示すべきでしょうね。そこを超えたらクッションではなく反発力だと。

この用具既定の問題でいうと、00年代に競泳界を席巻したSPEEDOの〈レーザーレーサー〉が思い出されます。
これを着用した選手が世界記録を連発し、五輪本番では他メーカーと契約していた選手が勝利のためにこれを選ぶという珍事まで発生したのですから、どれだけ威力があったかしれません。
他の水着では勝負にならないわけですから、技術革命といってもいいものでしたし、選手以上にメーカーの開発競争が激化してゆくかとも思われました。
しかし、みなさんご存知のように、レーザーレーサーは国際水連によって09年に禁止の決定が下され、あの黒の全身水着を見ることはなくなりました。

その禁止の理由は、そんなに難しいものではありません。
特殊素材を超音波で接着して仕上げることで極限まで水の抵抗を減らしたレーザーレーサーは、選手に助力を与えるとみなされ、またオーダーメイドで高価格(一般的なものの4倍ほど)な上に、きつい締め付けで体の凹凸を抑制する効果から、一度着たら破けてしまうというコストの高さは、明らかにアマチュアリズムに反していると判断されたわけです。

それに比べて、ナイキの厚底シューズは何が問題なのか私にはよくわかりません。
バネがついているわけでもなく、誰でも買えるような製品なのですからね。
他メーカーの嫉妬だとしたら、かなり馬鹿馬鹿しい話です。
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