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2020四大陸フィギュア、紀平梨花の分析力

四大陸選手権といえば、大会前にメディアが「日本女子表彰台独占も!」といって煽るのが決まり文句のようになっていますが、この2020年大会は表彰台云々よりも、3月の世界選手権や来季に向けて、日本女子がどこまで可能性を伸ばせるかというのが真の見所でした
現在の女子シングルはロシア勢が支配的な地位を占め、日本勢はその次の位置につけてはいるものの、下からアメリカ勢や韓国勢が突き上げてくるという厳しい状況にあります。
再び世界のトップを狙うためには、ジャンプのレベルをロシア勢のラインまで引き揚げねばならず、紀平梨花さんは4S、坂本花織さんは4T、樋口新葉さんは3Aと、それぞれがFSでのチャレンジを掲げたのが今大会でした。

そのFSを前にしたSPは、3選手ともほぼミスなく終えて、1位紀平さん81.18(PCS35.02)、4位坂本さん73.70(PCS35.44)、5位樋口さん72.95(PCS34.13)という好位置につけます。
紀平さんは怪我で封印していたルッツをしっかり決めたのがFSに向けて好材料でしたし、坂本さんは久々に70点を超え、樋口さんはSBでしたから、気持ちよくFSを迎えられたはずです。

そうしてまず最初にFSに臨んだのは樋口新葉さん。
冒頭は初挑戦の3Aを予定し、本人だけではなくスタンドも緊張で息の呑むなか、力強くテイクオフしたジャンプは…悔しい転倒。
回転はまずまずでしたけど、着氷のイメージを持っていなかった感じですかね。トゥクタミシェワの3Aに似ている印象です。彼女のようにあくなき挑戦を繰り返し、ブレードで氷を掴めるようになるといですね。
その転倒はあったものの、次の3Lz+3Tを何事もなく決めたのは立派でしたけど、サルコウが2Sになる悪癖が出てしまったのは猛省しなければなりません。かりに3Aでなんとか立ったとしても、2Sならば差し引きゼロのようなものです。
しかし、そこからは慌てず騒がず、ジャンプはノーミス、コレオやステップで見せ場もしっかり作り、新葉流の躍動感のある『Poeta』でした。似合いますね。
FSは134.51(PCS67.08)、合計207.46。
全日本に続いてジャンプの確率が高くなってきましたし、そこに自信がついてくれば、課題の繋ぎも分厚くなってくると思います。
3月の世界フィギュアでは、3Aを決めてのFS150点超えを期待します!

所属先の予定表ではこの四大陸選手権が今季最後の試合となる坂本花織さんは、気持ちよく来季を迎えるためにも、いい演技で締めくくりたいところでしたけど、冒頭の4Tを3Tの回りすぎくらいで転倒すると、続く3Fでもステップアウト、エッジが気になる3Lzは丁寧に仕上げ、3S+3Tは豪快なジャンプ。
前半はほぼ想定の範囲か。
ステップシークエンスでは持ち前のよく伸びるスケートとすっかり上達した表現で『マトリックス』の世界観を膨らませ、後半冒頭も3Lo+2Tを成功させたものの、3連続がタイミングがズレた2A+1T+2Tになってしまったのは残念。
それでも加速するコレオで盛り返し、そのままなんとか最後までゆくかと思われましたけど、最終版の3Loでも着氷を乱し、大崩れといった印象の演技になってしまいました。
FSは129.72(PCS68.99)、合計202.79。
終わってみれば、全体的に集中力に欠け、今季の坂本さんそのものといった内容でした。
戦う気持ちを奮い立たせることができなければ、来季も同じようになってしまいますぜ。
フィギュアスケーターとして、いまが正念場ですし、ここを乗り越えてこその本物だと思います。
がんばれ。

ジャンプのレベルでいえば先輩2人よりも一歩先にいっている紀平梨花さんですが、FSではもう一歩先は選択せず、冒頭は4Sではなく3Sに。
これでリズムが出なかったのか、次の3Aが1Aになってしまい、優勝にも暗雲が垂れ込め始めますが、復活した3Lzをばっちり決め、安定したキャメルスピン、そしてリカバリーの3A+2T!
空気が一気に変わった!
ステップシークエンスでは細かいフットワークや正確な振り付けで技術の高さを見せつけ、後半は3F+3T+2Tと3F+3Tを続けて豪快に決める怒涛の攻め、スピンとコレオも疲れ知らずで駆け抜け、余力十分の3Loから綺麗なビールマンで貫録のフィニッシュ。
序盤のミスを忘れさせる圧巻の巻き返しでした。
FSは151.16(PCS70.82)、合計232.34。
2位ユ・ヨンに10点差をつける快勝で連覇達成。おめでとう!
(樋口さんは4位、坂本さんは5位。3位はブレイディ・テネル。)

ただ、この四大陸は枠取りや次の大会の権利などがない、負けてもいい大会であり、チャレンジできる大会にも関わらず、紀平さんが4Sを回避したことは私も少々がっかりでしたし、同じ思いを持ったフィギュアファンも多いかもしれません。
ぶっつけ本番で世界フィギュアで4Sを導入するのは考えづらいですし、このままではロシア3人娘の後塵を拝したGPファイナルを繰り返すだけです。
むろん対手がミスをすれば勝つこともあるでしょうけど、その考えはアスリートとしては悲しすぎます。

紀平さんは4S回避の理由について、「(FSの)朝、起きたら疲労がすごかった。公式練習でも他のジャンプがゆがんでいることが多かったので、そっちを修正しなければならず、4Sを練習している場合じゃなかった」と語っていました。
自己分析力が売りの紀平さんらしいコメントであり、”成功しそうもないなら跳ばない”という彼女ならではの冷静さと強い信念が感じられます。
そういえば、GPファイナルを初制覇した18年のとき、記者から北京五輪での金メダル獲得について聞かれた紀平さんは、「いまのジャンプ構成(3A2本)は80%、残りの20%を埋めるのが4回転」だと答えていました。
これは当時ジュニアだったロシア娘たちが4回転の導入に向けて動いていたからに他なりません。
彼女たちに勝って北京で金を獲るためには、4回転が必要だという状況分析だったわけです。
なんという的確な分析でしょう。これこそが紀平梨花の一番の強味かもしれませんね。

そういう紀平さんの類まれな分析力を見ていると、”北京で金”から逆算しながらジャンプ構成を作っているように思えなくもありません。
今季は今季で彼女なりの目標があって、その階段を着実に登っているのかもしれないわけです。
”冷静と情熱の間”でいえば、熱狂と興奮を求める日本のフィギュアファンは冷静寄りの紀平さんに物足りないものを感じてしまいますけど、北京で爆発するカタルシスをじりじりしながら待つのも一興かもしれません。

我々には紀平梨花を信じるしかないのですからね。
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