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世界フィギュア2023、接戦の女子シングル(前)

ウクライナ戦争を理由にロシア女子が排除されているこの2022-23のフィギュアスケート女子シングルは、トップオブトップのなかに3Aや4回転を入れている選手はおらず、ジャンプ構成の基礎点がほぼ変わらないことから、”完成度と出来栄え”の勝負になっています。
そのため、昨季の世界選手権女王であり、世界ランキング1位の坂本花織であっても、ジャンプでひとつミスをすれば優勝が危うくなり、2つミスをすれば表彰台からも滑り落ちるかもしれないわけです。実際今季はそんな感じでした。
これは競技会としてはとてもエキサイティングですが、選手自身やそれを応援するファンからしたら、本当に胃が痛くなるような戦いです。

そしてついにシーズン締めくくりの世界フィギュア2023です。会場はさいたまスーパーアリーナ。
女子シングルは坂本さんが優勝候補筆頭であることは確かですが、そのすぐ下には昨季の世界選手権2位のルナ・ヘンドリクス、昨季の世界ジュニア女王のイザボー・レヴィト、今季の四大陸女王であるイ・ヘイン、そして坂本さんの姉弟子であり今季のGPF女王である三原舞依がいるのですから、結果の予想は本当に難しいものがありました。
5人ともこの大会に向けて調子を上げていましたし、本番での集中力とちょっとした運が勝敗を分けるといったところでしょう。

そうなると我々ファンは日本女子を信じて応援するのみだったわけですが、大事なSPでは坂本さんが79.24(PCS36.43)で1位、イ・ヘインが73.62(34.11)、三原さんが73.46(34.38)で3位、レヴィトが73.03(33.93)、ヘンドリクスが71.94(35.06)で5位という予想通りの面々が上位を占めました。
ヘンドリクス以外はノーミスだったのでレベルの高いSPだったといっていいでしょう。
もっとも、ディフェンディング女王の坂本さんが素晴らしい演技で2位以下に大きな差をつけたため、優勝争いの方は割と見えてきました。対抗馬一番手のヘンドリクスに転倒があったのが大きかったです。
この2人のギリギリの戦いが観たかったというフィギュアファンにとってはちょっと残念なSPでした。

しかし表彰台争いの方はまったくわかりません。
ミスをした選手から脱落して行くという椅子取りゲームです。
そして今日3月24日の女子FS、有力選手のなかでまず最初に登場したルナ・ヘンドリクスは、SPでミスをした3Lz+3Tを豪快に決めてスタートすると、前半はすべてのジャンプを揃え、鮮やかなコレオでさいたまアリーナの観客を魅了します。
ここでハイスコアを叩きだせば後続にプレッシャーを与えられますし、実力者のヘンドリクスにすればこの順番は悪くありません。
ところが、勝負の後半、コンビネーションにしたかった3Lzでまさかの転倒(リピート減点も)。
次の3F+2T+2Loは落ち着いて仕上げ、3Sにリカバリーの+2Tをつけ、終盤も勢いが落ちなかったのはさすがですけど、3Lzのところは本当に痛かった…。
FSは138.48(PCS70.28)、トータル210.42。この時点で暫定1位。
210点はキープしたので表彰台争いにはなんとか踏みとどまりましたね。

続くイザボー・レヴィットにすれば210というターゲットスコアはさして遠いものではありませんでしたが、冒頭の3Lzで転倒してしまっていきなり視界不良に。やりたかった+3Loはやはり高難度です。
それでもそこからのジャンプは安定していて、後半も2A、絶対に決めたい3Lzオイラー3Sも見事に成功、最後の3F+2Tもしっかり降りて、存分に巻き返したといっていいでしょう。
終盤のステップの技術も高く、スピンも美しくまとめ、その確かな実力を世界のフィギュアファンにアピールしました。
ただ、スコアメイキングでいえば、コンビネーションジャンプをどこかでリカバリーすべきでした。
具体的には後半冒頭の単独2Aのところ。
あそこで+3Tをつける度胸と余裕が欲しかったです。
それができなかったため、FSは134.62(PCS68.84)に留まり、トータル207.65。
暫定2位という表示に本人もキスクラでがっかりしていましたけど、まだ16歳(3月3日生まれ)ですし、初の世界フィギュアでの悔しさをバネに飛躍して欲しいものです。
才能があって、挑戦的で、本当にいい選手ですしね。
しかも可愛らしい!
(長くなったので後編に続きます。)
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