世界フィギュア2023、接戦の女子シングル(後)
(続きです。)
表彰台を狙える実力を蓄えて6年ぶりに世界フィギュアに戻ってきた三原舞依は、ファンの期待に応えてSPを3位で終え、いよいよ勝負のFSです。
暫定1位のヘンドリクス(210.42)を超えるために必要なスコアは約137点ですが、今季の課題である後半のジャンプさえある程度整えることができれば、そう高いハードルではありません。
そのためにもまずは前半をしっかり揃えて行こう!
という感じでスタートした三原さんは、2A+3T、3Lzと連続で成功させ、ターンからの3Sもクリーン、3Fはちょっとバランスが悪かったものの大きなミスでなかったのでまあよし。
緊張感のある前半を乗り切って、私も手に汗をかいていました。
しかし大事なのは後半です。ここで炎のような『恋は魔術師』を見せて欲しい。強い気持ちで行くしかない!
そういう状況だったはずですが、2A+3Tを丁寧に降りた三原さんは続く3Lzでタイミングが狂ったような転倒。慎重になりすぎていたかもしれません。
さらに続く3Loからの3連続予定も頭が2Loになる痛恨のミス。本人もさぞがっかりしたしたことでしょう。私は茫然…。
ただ、終盤のステップとコレオは気持ちを奮い立たせてよく滑っていましたし、最後のスピンもまったく乱れがなかったのも、三原舞依の意地を見た思いです。
FSは132.24(PCS68.49)、トータル205.70で暫定3位。メダルはかなり厳しい。
残念ながら、久しぶりの世界フィギュアに色んな思いや欲が交錯したのか、全体的に攻められませんでしたね。
私もファンのひとりとして本当にじれったかったですし、三原さん本人も本当に悔しかったと思います。
でも、前を向くしかありません。それがフィギュアスケートです。
この世界フィギュアでは初めて女子3枠態勢で臨んだ韓国女子ですが、近年はジュニアでの活躍も目覚ましく、この躍進は本物といっていいでしょう。
飛び抜けた選手はいないものの、このFSでもキム・チェヨン(SP12位)がノーミスの演技で長らく前提1位の座を保っていたように、
安定感のある好選手が揃っていて、育成の秘密を知りたいくらいです。
そんなことを考えていたら、SP2位のイ・ヘインがほぼミスなしのFSで大満足のガッツポーズ。
地味なんですけど、こつこつと積み上げて行く演技には妙なドラマティックさがありましたし、世界フィギュアという大舞台で実力を出し尽くした姿はとても印象的でした。
ジャッジもそれで心を動かされたのか、FSは147.32(PCS71.79)、トータル220.94という思わぬハイスコア(四大陸のときのノーミスFSは141.71)。
この時点で暫定1位だったのでイ・ヘインは銀メダル以上が確定!
韓国女子は久々の世界のメダルなので、来季からはイ・ヘインがエース扱いされそうですね。
そしてついに最終滑走。
伏兵イ・ヘインが目の前でハイスコアを叩き出したことで、さしもの坂本花織も平常心ではいられなかったかもしれませんが、そのタイミングで中野園子コーチに「行ってこい!」と背中をパンパンと叩いてくれるのですから本当にありがたい。
恩師の思いを背中に受けた坂本さんは、ふーっと息を吐いてリンクインすると、緊張をパワーに転換したのか、2A、3Lz、3Sと出だしから彼女らしいビッグジャンプ。
安定のスピンと余裕の3F+2Tのあとのステップでは感情豊かに肉体を弾ませる『Elastic Heart』。
この曲は坂本さんによく似あう。強さとは堅いものではなく、しなやかなものなのです。
だからこそ砕けない、へこんでもまた立ち上がることができる!
そんな気持ちで跳んだはずの後半冒頭のコンビネーションでしたが、頭の3F予定がまさかの1Fに。
しかしそこに+3Tを鮮やかにつけたのはまさに『Elastic Heart』。結果的にもこれが大きかった。
スピンを挟んでの2A+3T+2Tはミスを引きずらずに豪快に決め、叫ぶようなコレオでさいたまスーパーアリーナを沸かせると、終盤とは思えぬ力強い3Lo!これぞ坂本花織!
最後のスピンはすべてを絞りつくすようで、観ているこっちも息が苦しくなりそうでしたけど、よく戦い抜いた4分間でした。
ただ、坂本さん本人はもの凄く悔しそう。顔を覆って泣いているようでもありました。
ノーミスじゃなかったのと、どうやら4年前の世界フィギュア、場所も同じさいたまアリーナで、後半の3Fが1Fになったのをどうしてもリベンジしたかったみたいです。
こういう負けん気が彼女を女王にしたんでしょうね。
そして運命のスコアは、FS145.37(PCS73.91)、トータル224.61!
SPのリードもあってなんとか逃げ切ってくれました!
世界フィギュア連覇達成!これは日本女子初ですから快挙といっていいでしょう!
今季は序盤から心身のコンディションがなかなか整わなかったようですが、よくここまで持ち直しました。
氷上での戦いだけではなく、自分の内面での戦いも制した坂本花織に最大限の賞賛を送りたいと思います。
本当によくやってくれました、ありがとう、おめでとう!
坂本花織はレジェンドだ!

表彰台を狙える実力を蓄えて6年ぶりに世界フィギュアに戻ってきた三原舞依は、ファンの期待に応えてSPを3位で終え、いよいよ勝負のFSです。
暫定1位のヘンドリクス(210.42)を超えるために必要なスコアは約137点ですが、今季の課題である後半のジャンプさえある程度整えることができれば、そう高いハードルではありません。
そのためにもまずは前半をしっかり揃えて行こう!
という感じでスタートした三原さんは、2A+3T、3Lzと連続で成功させ、ターンからの3Sもクリーン、3Fはちょっとバランスが悪かったものの大きなミスでなかったのでまあよし。
緊張感のある前半を乗り切って、私も手に汗をかいていました。
しかし大事なのは後半です。ここで炎のような『恋は魔術師』を見せて欲しい。強い気持ちで行くしかない!
そういう状況だったはずですが、2A+3Tを丁寧に降りた三原さんは続く3Lzでタイミングが狂ったような転倒。慎重になりすぎていたかもしれません。
さらに続く3Loからの3連続予定も頭が2Loになる痛恨のミス。本人もさぞがっかりしたしたことでしょう。私は茫然…。
ただ、終盤のステップとコレオは気持ちを奮い立たせてよく滑っていましたし、最後のスピンもまったく乱れがなかったのも、三原舞依の意地を見た思いです。
FSは132.24(PCS68.49)、トータル205.70で暫定3位。メダルはかなり厳しい。
残念ながら、久しぶりの世界フィギュアに色んな思いや欲が交錯したのか、全体的に攻められませんでしたね。
私もファンのひとりとして本当にじれったかったですし、三原さん本人も本当に悔しかったと思います。
でも、前を向くしかありません。それがフィギュアスケートです。
この世界フィギュアでは初めて女子3枠態勢で臨んだ韓国女子ですが、近年はジュニアでの活躍も目覚ましく、この躍進は本物といっていいでしょう。
飛び抜けた選手はいないものの、このFSでもキム・チェヨン(SP12位)がノーミスの演技で長らく前提1位の座を保っていたように、
安定感のある好選手が揃っていて、育成の秘密を知りたいくらいです。
そんなことを考えていたら、SP2位のイ・ヘインがほぼミスなしのFSで大満足のガッツポーズ。
地味なんですけど、こつこつと積み上げて行く演技には妙なドラマティックさがありましたし、世界フィギュアという大舞台で実力を出し尽くした姿はとても印象的でした。
ジャッジもそれで心を動かされたのか、FSは147.32(PCS71.79)、トータル220.94という思わぬハイスコア(四大陸のときのノーミスFSは141.71)。
この時点で暫定1位だったのでイ・ヘインは銀メダル以上が確定!
韓国女子は久々の世界のメダルなので、来季からはイ・ヘインがエース扱いされそうですね。
そしてついに最終滑走。
伏兵イ・ヘインが目の前でハイスコアを叩き出したことで、さしもの坂本花織も平常心ではいられなかったかもしれませんが、そのタイミングで中野園子コーチに「行ってこい!」と背中をパンパンと叩いてくれるのですから本当にありがたい。
恩師の思いを背中に受けた坂本さんは、ふーっと息を吐いてリンクインすると、緊張をパワーに転換したのか、2A、3Lz、3Sと出だしから彼女らしいビッグジャンプ。
安定のスピンと余裕の3F+2Tのあとのステップでは感情豊かに肉体を弾ませる『Elastic Heart』。
この曲は坂本さんによく似あう。強さとは堅いものではなく、しなやかなものなのです。
だからこそ砕けない、へこんでもまた立ち上がることができる!
そんな気持ちで跳んだはずの後半冒頭のコンビネーションでしたが、頭の3F予定がまさかの1Fに。
しかしそこに+3Tを鮮やかにつけたのはまさに『Elastic Heart』。結果的にもこれが大きかった。
スピンを挟んでの2A+3T+2Tはミスを引きずらずに豪快に決め、叫ぶようなコレオでさいたまスーパーアリーナを沸かせると、終盤とは思えぬ力強い3Lo!これぞ坂本花織!
最後のスピンはすべてを絞りつくすようで、観ているこっちも息が苦しくなりそうでしたけど、よく戦い抜いた4分間でした。
ただ、坂本さん本人はもの凄く悔しそう。顔を覆って泣いているようでもありました。
ノーミスじゃなかったのと、どうやら4年前の世界フィギュア、場所も同じさいたまアリーナで、後半の3Fが1Fになったのをどうしてもリベンジしたかったみたいです。
こういう負けん気が彼女を女王にしたんでしょうね。
そして運命のスコアは、FS145.37(PCS73.91)、トータル224.61!
SPのリードもあってなんとか逃げ切ってくれました!
世界フィギュア連覇達成!これは日本女子初ですから快挙といっていいでしょう!
今季は序盤から心身のコンディションがなかなか整わなかったようですが、よくここまで持ち直しました。
氷上での戦いだけではなく、自分の内面での戦いも制した坂本花織に最大限の賞賛を送りたいと思います。
本当によくやってくれました、ありがとう、おめでとう!
坂本花織はレジェンドだ!


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