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『光る君へ』はメロドラマとしては良作

”黒歴史”というのは多くのひとの思春期の1ページ、もしくは数ページに渡って刻まれているものですが、おませなロマンチストだった私もろくに読みもしない『紫式部日記 紫式部集』(新潮日本古典集成)を座右の書と定め、雅な自分を気取っていた時期があったものです。
本当に内容を理解したいのであれば、図書館においてあるような本格的な本ではなく、わかりやすい現代語訳つきの文庫本にでもすべきでしたが、仰々しいハードカバーを本棚に並べるだけで満足していたのはまさに黒歴史といっていいでしょう。
とはいえ、年齢とともに知識がついてくると『紫式部日記 紫式部集』の資料的価値や人間観察の面白さがわかってきて、実はいまでも『紫式部日記 紫式部集』は自室の本棚のけっこういい位置に並んでいるのですから、いい本は早めに買っておいても損がないものです。
歴史は見事に修正されました!

という私ですから、この2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』はその製作が発表された当時から興味津々でした。
「紫式部が主人公」という第一報があったものの、宮仕えという狭い空間だけだとだと地味になりそうなので、おそらく劇中劇として『源氏物語』が描かれるのだろうと想定しつつ、しかし今現在、光源氏を演じられそうな俳優などおらず、一昔前に天海祐希さんが演じたような奇策や、いっそCGで作ってしまのもありか、などと妄想したものです。
ところが、少ししてNHKから正式に発表された作品概要は私の思いもよらぬものでした。

千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書きあげた女性
「光源氏」の恋愛ストーリーの原動力は
秘めた情熱と想像力 そしてひとりの男性への想い
その名は藤原道長
変わりゆく世を自らの才能と努力で生き抜いた女性の
愛の物語

読んでいてちょっとさぶいぼが立ちましたし、変な冷や汗みたいなものも出たかもしれません。
いま読み返してもキーボードを打つ手が震えてきそうです。
ラブストーリー大河なんていままでなかったですし、歴史のダイナミズムという大河ドラマのテーマからも完全に外れていますし、NHKの正気を疑います。
大河ドラマの”黒歴史”にならないかと正直いってかなり心配になりました。

そしてついに放送が1月7日から始まり、昨日2月18日で第7話を迎え、すでに作品の全貌が明らかになっているわけですが、やはりこの『光る君へ』は純然たるラブストーリーでした。
特に第6話の藤原道長(演・柄本佑さん)から主人公(吉高由里子)への恋の漢詩・恋の和歌の2連発は強烈でした。
井上尚弥のワンツー以上かもしれません。
私の相方などはドン引きしていました。

そしてこれには多くの視聴者、大河ファンもちょっとついてこれなくなったのか、第6話は視聴率も11.0%というこれまでの底を記録してしまいます。
というか、初回の12.7%が最高でそれ以降は下がり続けているのですから、脱落者が続出しているのは明らかといっていいでしょう。
それが戻って来るかというと、戦国時代ものなんかだと本能寺の変とか関ケ原の戦いとかの有名な話で視聴率を盛り返したりもできますが、紫式部の生涯だとそういうのも難しいでしょうし、登場人物でのブーストも清少納言(ファーストサマーウイカさん)がまったく響かなかったことから今後も期待薄です。
このままだと平均視聴率の二桁割れもあるんじゃないでしょうか。
『いだてん』が記録した過去最低の8.2%を下回ることはさすがにないでしょうけど、ネットの意見などを見ると内容への評価も低いですし、挽回の可能性がまったく見えません。

そんな『光る君へ』ですが、実は我が家では毎週欠かさず視聴しています。
大河ドラマではなくメロドラマだと思えば、なかなか楽しい作品です。
メイン俳優が美男美女じゃないところはメロドラマっぽくないものの、それが変なリアリティになっていたり突っ込みどころになっていたりするのもこの作品の個性ですし、癖になるような味付けといってもいいでしょう。
脚本も複雑な権力争いと人間関係を丁寧に描いていると思いますし、キャラクター設定もわかりやすく、役者たちもいい感じで演じてくれているので、テレビドラマとしてのクオリティは十分確保していると断言できます。

もっとも、”大河ドラマとしての満足度”を満たしているかと問われると、かなり微妙です。
残念ながらストーリーにも演出にもスケール感はまったくといっていいほどありません。
そもそも平安時代の貴族社会の現実って賄賂政治ですし、それがベースになっている物語にスケール感が出るはずもないんです。
だからこそこの『光る君へ』もラブに舵を切っちゃったんでしょうね。
紫式部を主人公にした時点で黒歴史が確定していたのかもしれません。
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